白貝は今のところ2種類の総称
まるで蝶の標本のようである

以下は少し抽象的だし、専門的なので、読みたくない人は読まないで欲しい。
貝の同定は、ときに貝屋にならないとダメだ。
貝屋は1種類、もしくは近似種をできるだけたくさん並べて比較する。
ちなみに、同じ屋のつく虫屋も同様のことをやっている。
同じ仲間(属)、もしくは同じ種を並べて変化を楽しんでいる。
ちなみにボクは変化に苦しんでいる。
貝屋とは非常に粘り強く、自分なりに種の形態の特徴付けができないとならない。
ボクたちはアナログの世界にいるが、科学というのはこの世界を、仮にデジタル化することであるかも知れない。
特に貝類の巻き貝など姿形が限りなくアナログで、種と種の段差が見つからないことが多い。
千葉県立博物館で貝類学者の照屋清之介さんと、遺伝子に関する雑談をしているとき、巻き貝などは同属で交雑が激しく、種と種の間がはっきりしない、などという話が出た。
しかも貝類の形態学の対象のひとつが貝殻だという特徴がある。
多くの貝類の種のタイプ標本(種の名/学名をつけるときに基本となる標本)は貝殻だけではないのだろうか。
さて、今回の、一般に白貝とされるものに話を移す。
昔、白貝はサラガイ、アラスジサラガイ、ベニザラガイの3種だと思っていた。
ただ、ベニザラガイが混ざる可能性はとても低いという話を聞いて、自分なりに調べてなおしてみると、「ベニザラガイは流通しない可能性が高い」という自分なりの結論に達した。
となると白貝は、サラガイ、アラスジサラガイの2種という事になる。
この2種にもアナログ的な部分、種と種の不明確な領域がある。
だから白貝とはなんだ? と考えると、かなり手こずることがある。
ちなみに3月3日の道東産(北海道東部太平洋側)の白貝は、サラガイ(内側が黄土色)とアラスジサラガイ(内側が赤紫)が半々であった。
もちろんベニザラガイはいなかった。