202407/30掲載

キンメダイは肝が肝心、肝たたき

見た目は単調だけど、食べたら複雑な味


切りつけた身の表面に見える光に、産卵期なのに脂がのっているな、と箸を伸ばす。
その身に均等にからみつく肝、実はこっちの方が主役かも。
キンメダイの身(筋肉)に脂はあるものの強いうま味はない。
要するに脂の口溶け感が甘いと感じさせ、うまいと錯覚させるのだろうと思っている。
複雑なアミノ酸が甘いと思わせるのと同様に、脂にもそのような効果があるのだ。
たたいた肝には身以上に複雑な味があり、ここにも別種の甘味がある。
いろいろ書いてみたが、要するに無類のおいしさがキンメダイの肝たたきにはある、ということだ。
今回の個体はやや小振りだったので、半身で造っても小鉢にこんもりでしかない。
別に大量に食べたいというわけではないが、食べ終わると切なくなる味だ。
岐阜県八百津で買った「玉柏 笹にごり 夏」は比較的軽い酒だが、とても似合う。

美しすぎてきれいに撮れない


今回のものは、八王子綜合卸売センター、細谷紙店の細谷さんが伊豆下田沖で釣り上げたキンメダイである。
目的は細部の撮影なので、いちばん小さいの(体長24cm・419g)を持ち帰ってきた。
産卵期前後の味が知りたかったのもある。
それにしてもキンメダイのパールピンクがなんとも魅力的だが、この色合いがどうしても上手に撮れない。
水洗いして三枚に下ろす。
腹骨・血合い骨を取る。
これをやや細かく切る。
肝は湯通しして氷水に落とす(鮮度がいいので完全な生でもよさそうだが、このあたりは好みで)。
肝をたたいて身と和える。
今回はわさび醤油で。

このコラムに関係する種

キンメダイのサムネイル写真
キンメダイSplendid alfonsino, 紅皮刀海水魚。未成魚は水深100-250m、成魚は沖合の200-800mの岩礁域。北海道釧路〜土佐湾の太平洋沿岸、新潟県佐渡・・・・
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