202406/22掲載

千葉県野田市『うなぎ 山口』

ウナギ食いは鯉の洗いで始めなければ調子が狂う


関東の醤油醸造は17世紀に銚子で初まり、土浦(土屋家で、茨城県土浦市)でも作られる。
この時代、江戸のハイウェーである利根川、江戸川、新川、小名木川が機能し始めていたときである。一代目、市川段十郎(後に團十郎 1660-1704)は両親の里である成田まで、このハイウェーを利用して日本橋、行徳、松戸、関宿、佐原まで舟運で行く。
銚子、土浦の醤油もこれとは反対だけど輸送経路は変わらない。
ただしこの時代、利根川と江戸川には難所があった。関宿である。室町時代かずかずの戦乱の場となった地ではあるが、川砂がたまりやすく舟運に支障が出た。
次ぎに醤油の産地となったのが関宿を通らなくても済む、江戸川沿いの野田である。豊かな水があり、関東で作られた大豆と醤油を集めるのもたやすかった。今や国内随一の醤油の産地だ。
この利根川、江戸川で盛んに作られた醤油と流山市のみりんが江戸前ウナギを完成に導いたのだ。
こんなことを思いながら野田の町を歩き、せっかくなので蒲鉾店のオネエサンに教わった町ウナギで贅沢をする。
「有名じゃないと思いますけど」
というのでゆっくり昼過ぎに行ったらテーブル席はいっぱいだった。
座敷に上がり、まずはノンアルコールビールと「コイの洗い」をお願いする。
関東平野のウナギ屋の特徴は必ず「コイの洗い」があること。またざっこ煮(煮ざっこ)があることも特徴である。
久しぶりのコイの洗いがやたらにうまい。

十二分にうまいと思うけど激戦区関東では平凡だ


待つほどもなくやって来た「うな重」も平凡ながらウマシ。
煮ざっこを包んでもらい店を出た。
このような地道なウナギの旅から、新著『ウナギの旅』を執筆中なのだ。

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