202510/18掲載

小田原魚市場、オアカムロの刺身と丼と柑橘じめ

今やめったに手に入らないオアカムロ


小田原魚市場をひとまわりして、初めて気がつくこともある。
そうだ、秋はオアカムロだ、というのもそのひとつだ。
見渡した限りでは、ボクにちょうどいいクチもの(いろんな魚がばらばらに入っているもの)や2、3尾の箱がない。
せっかく旬を迎えているのに、全体を見渡しても2箱しかない。
最近、オアカムロは引く手あまたの人気、なので決して安くはない。
そこに小田原のすし屋、『海攻』さんが来て、オアカムロ談義になる。

諦めて、別の魚に決めたとき、『海攻』さんが1尾だけ恵んでくれた。
ありがたや、である。
渋滞もなく帰り着いたのが、10時過ぎ。
魚の処理は仮眠後にして、オアカムロだけ下ろして刺身を数切れだけ。

ムロアジ属なので豊かなうま味がある。
上品で淡麗というのとは真逆の野性味溢れるうまさだ。
口の中で暴れると言ってもいい。
しかも脂が皮下に層を作っていて、口溶け感から甘さを感じる。
仮眠前に杯1ぱいだけの新潟市西区内野町「鶴の友 別撰」をなめる。
最近、これくらいでも鎮静効果がのぞめる。

土佐のちょっと甘口の醤油がオアカムロに合う


湯を沸かして体を温めて、睡眠3時間で復活。
魚をすべて撮影して下ろし終わったのが4時半である。

片身半分をちょんちょんと切り、しょうがと醤油をからめてご飯に乗せる。
酢みかんの会でいただいた高知県宿毛産の直七を、ご飯に絞り込んでいる。
魚の刺身をご飯に合わせるときには甘い醤油がいいのだけれど、いわゆる刺身醤油はあまり好きではない。
高知県宿毛市、「フンドウカネカ醤油 こいくち」の甘さがオアカムロに合う。

塩と酢みかんでさっぱりさらりとオアカムロ


夜、「鶴の友 別撰」を盃で2、3杯やるときにもオアカムロ、だ。
刺身に切り、塩で和える。
そこに、これまた、「酢みかんの会」でいただいた、高知市鏡上田さんの実生のゆずの皮をすり下ろし、にんにくを添える。
食べる直前にゆずを搾って、つまむ。
朝、逢魔が時、夜とオアカムロ、オアカムロの日だった。

ムロアジの仲間だが、北上傾向は弱い


北海道でも希に揚がるが、多いのは千葉県・山口県以南である。
アジ科ムロアジ属でも水揚げ量は少ない方だと思われる。
相模湾などでもあまりまとまってとれることはない。
プロが惚れる魚というか漁師や魚屋がおかずに持って帰りがちな魚である。

海攻
神奈川県県小田原市早川1丁目6−10 小田原水産会館内

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オアカムロのサムネイル写真
オアカムロRoughear scad海水魚。大陸棚縁辺の表層〜水深360m。小笠原諸島、千葉県〜九州南岸の太平洋沿岸、九州西岸の東シナ海、東シナ海大陸棚縁・・・・
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