オアカムロ


35cm前後になる。細長く、紡錘形で目が大きい。尾鰭(おびれ)が赤く、他の鰭もやや赤い。

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魚貝の物知り度 ★★★★
知っていたら達人級
食べ物としての重要度 ★★★
一般的(流通量は普通)
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
顎口上目硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目アジ科ムロアジ属
外国名
Roughear scad
学名
Decapterus tabl Berry, 1968
漢字・学名由来

漢字 尾赤鰘 Oakamuro
由来・語源 東京での呼び名。尾鰭(おびれ)が赤いアジの意味。
東京での呼び名「おあか」から。これにアジをつけたもの。

地方名・市場名

概要

生息域

海水魚。大陸棚縁辺の表層〜水深360メートル。
小笠原諸島、千葉県〜九州南岸の太平洋沿岸、九州西岸の東シナ海、奄美大島、沖縄県那覇。少ない[北海道〜茨城県の太平洋沿岸、山形県〜山口県の日本海]。東シナ海大陸棚縁辺〜斜面、済州島、台湾、ケニア沖、バリ島付近、オーストラリア西岸・東岸、ハワイ諸島、バミューダ、コロンビア沖、セントヘレナ。

生態

寿命は7歳。

基本情報

関東ではときどきスーパーなどに並んでいる。
ただし認知度は非常に低い。

水産基本情報

市場での評価 加工品となることも多い。鮮魚では安定的ではないが、ときにまとまって入荷してくる。値段は安く、ときに非常に安値となる。
漁法 巻き網、定置網
主な産地 高知県、静岡県など

選び方・食べ方・その他

選び方

身体自体に赤味のあるもの。触って硬いもの。

味わい

旬は秋から春だと思うが相模湾では寒い時季に脂がのる。
鱗は小さく薄く取りやすい。稜鱗(ぜんご)は細く短い。皮はしっかりしており、手で剥がれる。骨は軟らかい。
赤味をおびた身で血合いが大きいが、色合いのために目立たない。
クセのない味で、熱を通すと締まる。
身の断面 血合いが大きく脂は皮と身の間に層を作る。身自体も赤みがかる。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

生食〈刺身、たたき、セビッチェ、カルパッチョ、なめろう・さんが焼き(みそたたき)〉、汁〈みそ汁、潮汁〉、煮つけ、焼く〈塩焼き、干もの〉、揚げる〈フライ、唐揚げ〉
オアカムロの刺身 寒くなると身と皮の間に脂の厚い層ができる。水洗いして三枚に下ろして血合い骨を抜く。皮を引き刺身に切る。脂の甘さにまずは大感激、身のうま味の強さにもまた感激するはず。鮮度がよければ血合いの酸味もなく非常にうまい。

オアカムロのみそたたき(なめろう) 三枚に下ろして腹骨すき皮を向く。これをねぎ、しょうが、あればにんにく、みそと切れる包丁で細かくたたく。またこれを焼き、さんがにしてもいい。さんがは網焼きにでもいいし、ソテーしてもいい。
オアカムロのさんが焼き オアカムロをなめろう(みそたたき)にする。これをアワビの貝殻につめて天日で焼き上げたもの。フライパンでソテーするのが一般的なので、臨機応変にやってほしい。ご飯にも酒の肴にも向く。
オアカムロのセビチェ オアカムロは水洗いして三枚に下ろして皮を引く。比較的細かく切り、ライムと塩で締める。少し置き、紫玉ねぎと青唐辛子で和える。辛いのが好きなら締めるときに入れるといい。ライムの酸味と青唐辛子の辛みであっさりしてイヤミのない味わい。テキーラに合う。
オアカムロのみそ汁 オアカムロのあらや頭部を集めて湯引きする。冷水に取り、鱗やぬめりを洗い流す。よく水切りして水から煮てみそを溶く。非常にうま味のあるだしが出ておいしいみそ汁になる。ご飯に合う。
オアカムロの煮もの オアカムロは水洗いしてよく水分を切っておく。これを酒、砂糖、しょうゆの味つけで煮てもいい。今回は三枚に下ろして湯通し、冷水に取り滑り、鱗を取る。これを酒、みりん、しょうゆの味でなすと煮る。夏の脂のないものでもおいしい。
オアカムロのフライ マアジよりも大振りなので三枚に下ろしてぜんごなどを取り、血合い骨を抜き、塩コショウする。これに小麦粉をまぶして溶き卵をくぐらせてパン粉をつけて揚げる。味わいは少し酸味があるもののマアジに決して引けを取らない。
オアカムロの一夜干し 小振りのオアカムロを水洗いして開いて振り塩をする。これをビニール袋などに入れて一日置き、半日ほど干し上げたもの。干すことでうま味が増し、身離れがよくとてもうまい。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

相模湾などでのマアジ釣りでありきたりな外道である。サビキでもマアジ釣りの片天秤でもマアジの底近くのタナに下りる前にこれがくる。大型で味もイイので釣り師にも人気がある。

歴史・ことわざなど

●20131212岩手県盛岡市居酒屋で刺身を食べている。

地方名・市場名

オアカ
参考『伊豆・小笠原諸島の魚たち 改訂2版』(東京都水産試験場 2004) 場所東京都伊豆諸島・静岡県伊豆半島 
アカウル
参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 場所沖縄県南城市知念漁協 
アカゼ
参考静岡県水産・海洋技術研究所・伊豆分場 場所静岡県仁科 
アカムロ[赤むろ]
参考日比野友亮さん/和具の方言、静岡県水産・海洋技術研究所・伊豆分譲 場所静岡県伊浜、三重県志摩市志摩町和具 
アカゼムロ
参考静岡県水産・海洋技術研究所・伊豆分場 場所静岡県白浜 
アカジッポ
参考静岡県水産・海洋技術研究所・伊豆分場 場所静岡県稲取 
セイメイ
場所高知県高知市・室戸市 
オアカアジ
備考別名。 
アカメンタイ
サイズ / 時期幼魚を 
アカアジ アカウルミ グルクン ムロ
参考文献より。