202309/16掲載

その日だけの味だけど水ガマスの刺身は、刺身の最高峰

全長30cm以上が理想だけど


神奈川県小田原市、小田原魚市場はボクのホームグランドのようなところだが、初夏になると全長20cm 前後の子カマスが岸寄りでとれ始め、秋深まると全長30cmを超えて、食べ頃を迎える魚がいる。水ガマス(ヤマトカマス)である。
さて今回の9月も半ばの小田原行で出合った水ガマスは、体長25cm前後、重さ90〜116gほどに育っていた。これがもう一段成長しながら、確か昨年は、岸寄りの水温が下がる晩秋までとれたはずである。
沖合いに多いアカカマスは全長50cm前後の大ガマスになり、水深100m以上の深場にもいるが、本種はせいぜい35cm前後にしかならなず、深くても水深80mくらいにしか見られない。しかも寒くなると姿を消すのだ。
くどいようだが、アカカマスは周年漁獲され、定置網などでは主要な獲物となっているが、こちらは初夏から秋まで季節限定の魚だ。
さて、小田原は干もの作りが盛んなので、干ものになることが多い魚だが、地元では刺身で食べる魚なのだ。問題は刺身で食べられるのは当日限りという点である。
小田原魚市場を歩いていていて、2、3本分けて、ともいえないので、地元系スーパーのヤオマサ、ナイトウさんに分けてもらう。朝どれの魚が並ぶヤオマサに行けば、ボクがやろうとしている地域限定の食べ方が普通にやれる、ここが小田原の凄いところなのだ。
忘れぬ内にナイトウさん、ありがとうさん。

水ガマスの刺身のいいところは脂ではなくうま味の量である


小田原から帰り着いたら、すぐに水洗いをすませる。
三枚に下ろし、腹骨・血合い骨を取る。
皮を引き、刺身にするだけである。
朝手に入れた水ガマスはすぐに水洗いしてペーパータオルにくるんでおけば、当日中は刺身になる。
この時季、小田原帰りのボクの昼ご飯のおかずこそが、水ガマスの刺身なのである。
このうまさ文字にしにくい。
は平均的に110g以上になる時季ではないので、まだ脂ののりはそれほどでもないが、味わい濃厚なのである。
この味はうま味成分が豊かだからこそで、脂からくるコク(味わい深さ)ではなく、うま味から来るコクなのだ。
このコクで食らう丼飯が最高である。
ちなみにこの日の深夜酒の肴も水ガマスの刺身だった。
1本分でそんなにたっぷりではないけど味が強い、この夜冷やで飲んだ宮城の日高見はうま口の酒だったが、味わい互角であった。

このコラムに関係する種

ヤマトカマスのサムネイル写真
ヤマトカマスJapanese barracuda海水魚。沿岸の浅場。新潟県〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、北海道〜九州南岸の太平洋沿岸、小笠原諸島、瀬戸内海。朝鮮・・・・
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