202509/14掲載

羅臼の「きんき」は素直に煮つけに

直球ど真ん中、火の玉ボールのごとききんきの煮つけ


八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産で「きんき(キチジ)」の荷を前にしてすし屋が、左の網走、右の羅臼と交互に見て立ち尽くしている。
北海道網走は近年人気が高いので、値段は非常に高い。
右の羅臼も負けず劣らず高いけど網走ほどではない。
煮つけにするならサイズ的には小振りな網走で、羅臼は大きすぎる。
横に並んで右左を見て、つられ買いする。
1尾でいいので羅臼産のいちばん小さい22cm・306gを、量りに乗せて値段を聞いてから買う。
さすがに「きんき(キチジ)」をキヨミズガイはできない。

帰宅して、すぐに煮つけにする。
水洗いして湯通しして冷水に落とす(この工程は必須ではない)。
水分をよくきり、酒・みりん・砂糖・たまり醤油(必須ではない)・濃い口醤油で煮る。

煮上がりで朝ご飯のおかずにしたが、そんなに多くは食べられない。
脂が多すぎるし、うますぎるからだ。
とろとろ口に含むと溶け出して消える。
そのはかなさよ、といいたいところだけど非常に強い味だ。
保冷剤を皿に敷いてラップをして置く。

昼ご飯には室温になった煮つけをおかずにする。
いただきもののニラをみそ汁にしたが、余計な気がした。
純粋に「きんき(キチジ)」だけでご飯を食べたい。
今回は肝心の肝に触らないように気をつける。

肝だけで酒が飲める、これ「きんき」の常識


夜酒には肝と腹あたりをつつく。
「きんき(キチジ)」と、アコウダイ、オオサガなどの大型の赤い深海性のメバル属との違いは、やはり肝にあると思う。
体調を整えるときなのに、新潟市西区内野町、「鶴の友 上白」がすすんで困る。

骨湯は早朝に飲むべきものかも


そして早朝の骨湯(医者殺し)がいいのである。
骨からのうまいだし、破片となった身で、骨まで愛せるのが「きんき(キチジ)」かも。

出世は早くなかったが、今や摂政関白のごとし


「きんき(キチジ)」は茨城県以北で水揚げがある。
標準和名は意外に知名度が低く東京ではもっぱら「きんき」である。
「きんき」は東京に対しての供給地である東北太平洋側、北海道の一部での呼び名を受け継いでいる。
東京では「きんきの煮つけ」は至って庶民的な食堂メニューだったが、1980年代には徐々に庶民性が失われてしまっている。
今や食堂からは消え、代わって登場したのがアメリカ産のアラスカキチジである。
■舵丸水産は、一般客に優しいので、ぜひ近くにお住まいの方は一度お寄り頂きたい。

このコラムに関係する種

キチジのサムネイル写真
キチジBroadbanded thornyhead海水魚。水深100-1504m。北海道オホーツク海沿岸、北海道〜三重県大王崎の太平洋沿岸(千葉県以南には希)。希に日・・・・
詳細ページへ


Copyright©2025 Bouz-Konnyaku All Rights Reserved.

呼び名検索

方言を含む全ての名(標準和名,方言,呼び名,外国名,学名)から水産物を検索します。

閉じる