202304/18掲載

今季初イワガキは三重県産

暖かくなって食べてこそ


食文化を調べているので、敢えて言えば季節感命、千利休的ボクなのである。重ねて言えば、魚貝類を調べることは季節感を感じることでもあると思っている。ちなみにボクは水産業という業界とはまったく無関係だ。ゼニのために水産物は語らない。
季節到来かな? と思ってはじめてその魚貝類を食べる。もちろん旬ではなくても食べる魚貝類もあるけど、時季を外して食べない方がいい魚貝類もあると考えている。
その最たるものがカキである。カキ目イタボガキ科マガキ(現在は違うけど)属にはスミノエガキ、シカメガキ、マガキ、イワガキがあるが4月も半ばをすぎるとイワガキ以外は食べない。
もちろんマガキの産卵期にはずれがあるので、4月、5月にもうまいマガキはある。スミノエガキなどもっと暖かくてもうまいかも知れない。
ただどうしても4月以降は完全にイワガキ気分になってしまう。
関東に真っ先に来るのは(最近はそうとも限らないが)三重県産である。伊勢湾沿岸では、漁の端境期にイワガキ漁を始めたのだと聞いたことがある。ちなみに伊勢湾も新しいイワガキの産地のひとつだ。
もともとイワガキを食べていたのは関東周辺というか茨城県、千葉県、東京都と、東北日本海側、新潟県、鳥取県などだ。築地時代の老人に聞くと、千葉県産のイワガキは蒸し暑くなる頃に来たという。
今では産地が増えたのでもっと長期にわたって食べられるものの、個人的には4月の声を聞いて初めてイワガキ気分になる。

伊勢湾ものは肥えてうまし


今年の三重県明和町産は思ったよりもよく肥えていた。500gサイズで可食部分が70gくらいある。
ちなみに天然物で可食部分が1割を超えるというのは優秀である。
滋味豊かで実に味が濃い。食感がほどよいので味が重くなりすぎない。
今年のイワガキは期待十分やも知れぬ。

このコラムに関係する種

イワガキのサムネイル写真
イワガキRock-oyster海水生。潮間帯下の岩礁域。陸奥湾から九州、日本海。・・・・
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