202505/03掲載

5月のブリはまだまだうまいし、安いし

5月のブリはそろそろ終いだけど、安くてうまい


神奈川県小田原市、小田原魚市場、定置網の水揚げを見ながら考えた。
5月の今こそ、ブリ(関東でいうワラサ5キロから8キロ以上)を食べよう!

昔の冬の定義は旧暦の10月〜12月で、だいたいだが新暦の11月後半から2月1日前後だ。
気象庁の、冬の定義は新暦の12月から2月いっぱい。

ブリの旬は旧暦・新暦も考えないまま、ばくぜんと冬だと思っていないだろうか?
実は旧暦にしろ、新暦にしろ、冬には、それほどブリが揚がるわけではない。
ちなみに定置網で、ブリがたくさん揚がりおいしい時季は北海道では、新暦(今のカレンダーで)8月後半から10月くらいまで。
本州でも比較的北では冬の、新暦(今のカレンダーで)1月半ばから3月、南に下がると新暦(今のカレンダーで)3月から5月くらいまでなのだ。

上から見ると左右に太くて、活きのいいブリ、いらんかえー


新暦(今のカレンダーで)12月になって、ブリの旬だから食べよう、と思うのはお金持ちには正解だけど、良識のある人には不正解なのだ。
正月にブリを食べるのは。ハレの日(正月などお祭りや特別な祝日)に贅沢をする習慣があるからだ。
ただ暮れから正月にブリを食べる地域(長野県・新潟県・静岡県を含む以西)の食文化が生まれたのは、たぶん江戸時代で、そのときの正月は旧暦である。
2025年の旧暦の正月は1月29日だ。
江戸時代は今よりも気温が低かったので、比較的この旧暦の正月にブリが揚がっていた。
それでも庶民の手に届かないものだった。
だから繰り返しになるが正月くらい贅沢しようというブリだったのだ。

今では、北海道は秋にいちばんとれるが、本州以南では2月も後半になってまとまって揚がる。
季節に従順に、その食べ物のいちばんとれる時季に、その食べ物を食べるのがいちばん自然に優しく、温暖化を抑えることができる、ということを考えると、今こそブリを食べないとダメだと思っている。

ブリの旬は冬ではなく春だ、と一刻も早く頭の切替をするべし。

このコラムに関係する種

ブリのサムネイル写真
ブリJapanese amberjack海水魚。北海道〜九州南岸、[鹿児島県種子島]、希に沖縄県、オホーツク海、太平洋、瀬戸内海、日本海、東シナ海。朝鮮半島・・・・
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