安乗のマアジはやたらにおいし
刺身の表面に薄曇りの脂の層が見える

三重県志摩市へは何度か行っているが、安乗漁港のある安乗崎には行ったことがない。
魚を食べるということは、知らぬ町を旅する如きである。
また、志摩市内ではマアジを買ったことがあるし、食べたこともあるけど流通してきたものを手にするのは初めてだと思う。
刺身にすると、思った以上に脂がのっていることがわかる。
皮下に脂の層が見えるし、舌に乗せたときの脂の口溶け感があり、ねっとりと舌にからみつく。
鮮度がいいので食感もいい。
水氷(氷入りの塩水の中に魚を入れてある)に見えたので、値段は並かも知れないけど、味は上といえそうである。
小さな真子を持っていたので産卵はまだまだ先で、志摩のマアジは旬を迎えているようだ。
焼き上がりは表面のあっちでもこっちでも脂の花火散る

お楽しみはこれからだった。
焼き上がったばかりの塩焼きは脂が半液化した状態で、液化した脂の泡がときどき表面にきらっと光る。
焼きたての熱々は、食べる前から非常に香ばしく、口に入れると焦げた脂が濃厚な味を放出している。
身に豊かなうま味があり、適度に繊維なので口の中で心地よく崩れて甘い。
最近、細かな作業が多く、疲れすぎているため、我慢していた酒に手が出る。
東京都多摩地区の地酒、澤ノ井の大辛口を、ちょっと飲み過ぎる。
背中に厚みがあってぬめっとした旬のマアジだ

八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産のクマゴロウがどうしてもボクにくれるというので、もらってきたマアジは三重県志摩市阿児町安乗『心勢水産』からのもの。
やや大きめの24cm・223gで、手渡された手触りで脂あり、と感じられるといったものだ。
いただきものなので値段は不明。
でも鮮度はいいし、背中の肉は盛り上がっているし。
半身を刺身にして半身を塩焼きにする。
水洗いして2枚に下ろす。
腹骨・血合い骨を取り、皮を引き刺身にする。
塩焼きは骨つきの方の真ん中に切れ目を入れて振り塩をする。
1時間以上寝かせて焼き上げる。
■舵丸水産は、一般客に優しいので、ぜひ近くにお住まいの方は一度お寄り頂きたい。