ハチジョウアカムツの塩焼き、たぶんフランス風
フランス風かどうかはわからないけど

獅子文六(岩田豊雄 1893-1969)名義の『飲み・食い・書く』は学生の頃、単行本を古書店で買い、文庫本をこれまた古書店で買った。「食べ物本」は作家によっては資料として読める人と、読めない人がいるが、獅子文六は前者の代表格だ。慶應出身なのに文章に久保田万太郎のような慶應臭さがない。
そこに、マルセイユではサバの塩焼きにレモンをかけて食べるというのがある。
これとそっくりそのままを、1980年代に米軍住宅で見ている。フランス生まれの、米軍の事務官(?)の母親は、ひとりだけ魚を夕食に食べていた。たぶんメカジキの塩焼き(グリルパンで焼いたもの)で、カイエンヌペッパーとレモンを1個丸々かけて食べていた。
ボクはデジタルカメラ以前にこの塩焼きにレモン、白コショウもしくはカイエンヌペッパーをかける、という写真を何種類もの魚で撮影していた。
ただ、2、3日かけてデジタルデータを見直しても、この塩焼きレモンの画像が見つからない。なので撮り直している。
今回はハチジョウアカムツの塩焼きにレモンである。
個人的感想だけど、この国では「塩焼きには大根おろしとかしょうが」だけど、改めてレモンの方がおいしいと思った。
3切れを2日間かけて食べ比べてみたが、レモン・カイエンヌペッパーよりもレモン・白コショウの方がいい。
あまりにもおいしいので、当分、魚の塩焼きはこのフランス風の食べ方でやろうと決めた。
身をほぐしてまたレモンをかける、白コショウを振る

ハチジョウアカムツの塩焼きは、焼きたてにいきなりレモンをじわりっと搾る。
ほぐしてまた搾り、白コショウを振る。
表面がレモン果汁でぬれても、皮目は脂で揚げたようにぱりっとして香ばしい。
身は表面こそ脂でコーティングされているが、中はしっとりと豊潤で甘い。
脳が空転するくらいにうまい、というのは自画自賛過ぎてはしたないかも。
大根おろしは、「おいしい」の邪魔になるけど、大量のレモン果汁は邪魔にならない。
念のために書いておくが、これはボクが香酸柑橘類をやたらに消費する徳島県人だからかも知れない。
カイエンヌペッパーの単純な辛味よりも、深みのある白コショウの方がいい。
このレモンたっぷりの塩焼きをバゲットに乗せて食べると、結構上等な朝ご飯になる。
さて、次はマサバでやってみよう!