202411/14掲載

温やっこと焼き穴子の鍋

一鍋で二つの味を別々に楽しみたい


ボクの一日は通常三等分なので、深夜に軽くなにかを食べて酒を飲む。
今回は焼き穴子(マアナゴ)を使って、鍋仕立ての「温やっこ鍋」の天盛りにした
念のために、「温やっこ」とは醤油味に煮込んだ豆腐で、温々の内に出されるので、この名がある。
大阪で独り酒をやるときなど、あると必ずお願いするボク好みの酒の肴である。

温やっこだけでもいいのだけど、華がない。華代わりの焼き穴子だ。
別に「温やっこ」と焼き穴子を味で融合させようというのではなく、甘辛く煮つけた豆腐を食べて、合いの手に甘辛いつゆで温めた焼き穴子を食べると言うだけのものだ。

普通鍋ものの具は何らかの関連性を持つ。
例えば、湯豆腐にタラ(マダラ)などは一緒に煮ると、味に相乗効果が生まれるのだけど、今回のものは相乗効果を生まない。
ただ、だしのきいた「温やっこ」はそれなりにおいしいし、温めた焼き穴子もおいしい。
一鍋の中で2つの素材が別々のままだけど、単体で煮るよりは遙かに楽しい。

この味を表現するのは難しいが、だしで煮た豆腐がうまいことはだれでもわかる。これだけで充分満足できるはずだ。
焼き穴子は、みりんがきいてもともと少し甘い。これを甘辛いだしの中で温めただけだけどより味わい深くなる。

先にも述べたように、鍋とは素材が鍋の中で結婚するものだと思いがちだけど、今回の鍋は2つの素材が結婚しないまま、ボクに食べられてまた別れ別れになる。
これを「君の名は? 鍋」と名づけたい。「君の名は」は年代によって違うだろうけど。

マアナゴはときどき食べたくなるので、料理を考えなくても買う


11月11日、八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産にでマアナゴの開きを買う。
穴子好きなので、ときどき食べたくなる。天ぷらでもない、煮つけでもないと迷っている内に考えるのが面倒くさくなり、とりあえず、軽く振り塩をして焼き、仕上げにみりんを塗る。
これを温やっこに添えて食べる。
温やっこは鍋仕立てなので、つゆを作る。
今回はうどんだしを使う。
長崎県平戸の飛び魚煮干しのだしにみりん・塩・薄口醤油が我が家のうどんつゆ。ここに濃口醤油とみりんを加えて甘辛味に直す。
滋賀県で買ってきた木綿豆腐を適当に切り、このつゆで煮込みながら食べるのだが、焼き穴子を天盛りにして一切れずつつゆに落として温めながら食べる。
薬味は滋賀県長浜市で買ったねぶかのせん切り。
■舵丸水産は、一般客に優しく、水洗い・下ろしなどをやってくれるので、ぜひ近くにお住まいの方は一度お寄り頂きたい。

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