久しぶりのアイブリで魚すき
体をあったかくする料理の最高峰が鍋である
小田原から帰って数日してがくんと気温が下がった。外で鳴いているアオマツムシも寒そうである。
このところ鍋で深夜酒することが多くなったのも、秋の入り口にたどり着いたからだろう。
さて、大阪の「魚すき」もしくは割り下鍋が、日本各地に飛び火していろんな名前で作られている。
要するに「煮食い」でも、「じふ」でもいいが、今現在『がしんたれ』を読み直しているだけの理由で、大阪風に「魚すき」とする。
アイブリは、アジ科よりもどちらかというとマナガツオ科に似た味である。
くせがなくて上品、しかも煮ても硬くならない。
煮えばなを食べては野菜、豆腐、ときどききのこ(シイタケ)だったり、きのこばかりを食べて、アイブリだったり。
この身勝手な食べ方こそが「魚すき」の「好き」に通じると思っている。好き好きに食べろという意味である。
このあたりの食べ方などフリージャズに似ておりまする。
煮えばなのアイブリの切り身は柔らかく、下の上でほろっと脆弱である。
しかもしっかり魚らしいうま味が感じられる。
本当は食べ終わったらうどんでも、といきたいが、我慢して箱の高清水を正一合だけ。
ブリよりもカンパチに似ているアイブリ
2024年10月4日の神奈川県小田原市、小田原魚市場、二宮定置は大漁だった。みなが忙しく右往左往しているところで、ボクはあいかわらず単なるお邪魔デブそのものだった。
というのは何度も書いている。
その中、いただいたものにアイブリがある。アイブリは西太平洋、インド洋を、群れを作らないで回遊している魚で、定置網ではお馴染みだけど、気まぐれな魚でぽつんと1個体ずつ、間を置いてとれたりする。
刺身にしてもとても味がいいが、この日は持ち帰った魚が多すぎ、刺身もいろいろ食べすぎている。
今回は大阪の劇作家、長谷川幸延のいうところの割り下鍋、すなわち魚すきにする。
水洗いして下ろし、適当に切り、湯通しする。
氷水に落として残った鱗とぬめりを流す。
水・昆布・みりん・酒・醤油のつゆを作り、加減をみてカツオ節出しを加える。
このつゆを煮立てた中で煮ながら食べる。