小ツムブリの開き干し、意外
ツムブリの評価が変わる、秋の開き干し
ぜんぜん期待しないで作った小ツムブリの開き干しが、ガスの魚焼きの中で音を立てている。
なんだろう? と見たら脂が泡となりプツプツと鳴いているのである。
ツムブリの本州での旬は寒い時季、例年なら9月中旬からだと思っている。
やたらに暑かった今年の夏がじょじょに遠のいているのが気温でわかる。
この日の朝の外気温は21度だけど、海も秋めいているのかも知れない。
ボクは山育ちなので海に憧れていた。そして海への憧れは今も続いている。
山の山の山の中育ちは海まで遠さに比例して、海への強い感性を持っている。
干ものを焼きながら海を感じてしまうなんて、海育ちにはわかるまい。
干ものの表面が微かに飴色を帯びている。
脂のこげた香りがする。
大きい干ものなので、えいや! とばらして口に放り込むと、意外にも強い味が舌をつく。
ツムブリの残念なところは皮が硬いことだ。
もったいなので皮をあぶり直してかりかりと食べて、新しいツムブリの味を知ったのも今回の収穫だろう。
また釣ってこないかな、クマゴロウ殿。
干し上がりを見ると立派な開き干しだけど、味は未知数
八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産、クマゴロウは最近、せっかく銭州に行っている割りにはいいものばかりで、面白いものが少ない。
「本命ばっかり釣ったらあきまへん」と言って、たった1尾ぽつんと置かれていたツムブリの若い個体を誘拐してきた。
ツムブリは大きさに正比例しておいしい。体長1m以上になる魚の体長29cmは幼魚ではないが、若魚でしかない。
こいつを前にしていろいろ考えた。
思い切って開き干しにしてはどうだろう。
鱗を引き、背割りにして開く。
水分をよく拭き取り、立て塩に7分漬け込む。
普通の塩気なら15分くらいだろう。
これを外気温がまだ高く蠅が飛んでいるので、冷蔵庫で36時間干す。
■舵丸水産は一般客に優しく、イカの水洗いなどやってくれるので、ぜひ近くにお住まいの方は一度お寄り頂きたい。