イイダコ
魚貝の物知り度 | ★★ これは常識 |
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食べ物としての重要度 | ★★★ 一般的(流通量は普通) |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
概要
生息域
海水生。浅い干潟や内湾。
北海道南部以南、日本各地。朝鮮半島南部、中国沿岸。
生態
■ 産卵は春。
■ 卵は8ミリほどにもなり、米粒形。
■ 貝殻などに卵を産みつけ、雄(おす)が保護する。
■ 浅い砂地に生息。
基本情報
主に本州以南の浅い内湾に生息している。底曳き網、蛸壺などでもとれ、古くから漁獲されている食用ダコだ。
春の季語歳時記にもあるごとく、国内でもっとも愛されている小型のタコ。
「いい」とは「飯」のことで春に飯粒状の子を持つことからこの名がある。名の通り、本種の価値は卵のあるなしによって決まり、雌の方が圧倒的に高い。
関西以西ではおでん種としても利用され、需要が高いのでタイなどから近縁種が輸入されてもいる。
水産基本情報
市場での評価 春から初夏にまとまって入荷してくる。春の子持ちは非常に高く、雄の二倍以上する。
漁法 底曳き網
産地 瀬戸内海沿岸、三河湾など
選び方・食べ方・その他
選び方
白っぽくないもの。目が澄んで輪紋がくっきりしているもの。
味わい
旬は春
小振りのタコで滑りなどは少なく、熱を通してもあまり硬くならない。
タコらしい小豆を煮たときのような香りは控えめ。
甘みとほどよい旨みがあり、まったくクセはない。
「飯蛸」とあるように卵巣が米粒を思わせる食感、形で、ほっくりした甘みと食感がある。
雄の白子の方が柔らかく、食感は乏しいが味がいい。
下処理
1 胴の部分をめくり墨のみを取り除く。取りにくいので墨を袋から押し出すようにしてもいい。
2 卵、肝膵臓、鰓などを胴にもどす。
3 まず手でもみ、滑りが出てきたら、塩でまたもむ。粘液を何度も洗い流し、水を切っておく。
栄養
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危険性など
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食べ方・料理法・作り方
好んで食べる地域・名物料理
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加工品・名産品
干しだこ 兵庫県明石市。生の足を串で広げて硬く干し上げたもの。焼いて食べるが、硬い。
釣り情報
白い陶器のラッキョ型のものをつけたテンヤ、もしくはラッキョ自体をつけたテンヤ、豚の脂身などをつけたテンヤで船釣り、投げ釣りで釣る。
歴史・ことわざなど
■ 俳句では春の季語。
明石古代蛸壺 弥生時代、古墳時代にはイイダコ専用の小型の蛸壺が作られていた。明石市周辺、瀬戸内海ではこの古代に作られた素焼きの小型蛸壺が今でも底曳き網などにかかり、あがる。
栄螺の空貝 〈これをとるには栄螺の空貝(から)を網に繋いで水中に投じる。すると久しくして鱆は貝の中に入る。〉『和漢三才図会』(寺島良安 東洋文庫 平凡社 正徳2年 1712)
旧ページ内容
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産卵期は春なので秋から冬にかけて「飯(いい)」を持つ。このメスはなかなか高価で醤油味で煮たものは「いい」にコクがありとてもうまい。
また夏は肉の味は最高の時期で、さっと茹でてわさびじょうゆで食べたい。
おでんには下ゆでしたイイダコをいれる。ことこと出汁の中で長時間ゆすぶられて柔らかく煮上がったときが食べ頃。
関東ではイイダコと里芋もしくはジャガイモの煮ものを祭などに作るのだが、これもうまい。