カナガシラ
全関連コラム
珍魚度・珍しさ | ★★ 少し努力すれば手に入る |
---|---|
魚貝の物知り度 | ★★★ 知っていたら通人級 |
食べ物としての重要度 | ★★★★ 重要 |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
分類 | 顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カサゴ亜目ホウボウ科カナガシラ属
|
---|---|
外国名 | Searobin
|
学名 | Lepidotrigla microptera Günther, 1873
|
漢字・学名由来 | 漢字 金頭、金頭魚、鉄頭、銅頭魚、加奈加之良 Kanagasira Günther, Albert Karl Ludwig Gotthilf Günther (アルベルト・ギュンター 1830-1914 ドイツ→イギリス)。動物学者。 |
地方名・市場名 |
概要
生息域
海水魚。水深40メートルから340メートルの砂泥地。
北海道全沿岸、青森県〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、青森県〜九州南岸の太平洋沿岸、瀬戸内海。
朝鮮半島南西岸、渤海、黄海、済州島、東シナ海中部以北、香港、ピーター大帝湾。
生態
雌の方が大型になる。
産卵期は春。
主に低生のエビや甲殻類をエサとする。
基本情報
北海道まで九州まで底曳きや釣り、刺し網などで水揚げされている。底曳き網などではまとまって揚がり、味がいいので古くから人気の高い白身魚だ。
東北などで「君魚(きみよ)」というのは、殿様などが食べる上等の魚という意味を持つ。生後100日に行われるお食い初め(箸初とも)に使われる。また長崎県などでは節分に欠かせない魚として重要である。
国内では鮮魚流通で普通にみられる。比較的安いわりにとてもおいしい魚だが、水洗いなどが面倒なので、人気に陰りがみえる。
下ろしさえすれば刺身にしておいしく、煮ても焼いても最上級の味を誇る。
珍魚度 一般的な食用魚だが、消費地などではあまり小売店に並ばない。少し探せば手に入る。
水産基本情報
市場での評価 秋から春にかけてときどきまとまって入荷してくる。白身に人気がなくなってきていて値段はやや安値安定。産卵期に大量に揚がる値を崩すことがある。
漁法 底曵網、定置網
主な産地
選び方・食べ方・その他
選び方
赤い色合いが鮮やかなもの。古くなると退色する。身のしっかり硬いもの。鰓が鮮紅色であるもの。
味わい
旬は秋から春。真子・白子が大きくなるにしたがい味が落ちるが、極端に味を落とすことはない。
鱗は背鰭下などに大きくて強いのがあり、体幹部分は小さくてしかも硬く取りにくい。皮は厚く引きやすい。骨は頭部のみ硬い。
透明感のある白身で鮮度が落ちると白濁する。熱を通しても硬く締まりすぎない。肝は非常に美味。
栄養
ー
危険性など
ー
食べ方・料理法・作り方
水洗いして適当に切る。肝や鳴き袋も取り分けて置く。湯通しして冷水に落として残った鱗とぬめりを流す。水分をよく切っておく。これを昆布・酒・塩の出しの中で煮ながら食べる。野菜や豆腐などはあるものをたっぷり使うといい。
身の上品な味わいにうま味豊かなだしがからむ。今回は柑橘類と醤油で食べたが、これ以上望めないと思う。
好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
釣り情報
広島県倉橋島の日美丸さんからの情報では「鯛のフカセ釣」では外道のひとつ。アタリはキスに似て、上がってくるときはカレイのような感じの引きであるそう。日美丸の「鯛のフカセ釣り」というのは伝統的な釣法で、仕掛けを見る限り当たりもダイレクトだ。
歴史・ことわざなど
上流階級の年越しの膳 弘前藩津軽氏の城下では上流階級の年越しの膳にも金頭魚が用いられた。『津軽藩政時代の生活』(黒瀧十二郎 北方新社 1993)
食い初めの魚 生後100日目に行われるお食い初めには、尾頭つきの魚が善に加わる。このときもっともよく使われるのがカナガシラ。頭が硬い魚なので、頭の骨がしっかりする(固まるように)とのか。(『魚の文化史』矢野憲一 講談社)
賀膳に供す 〈世間一般では子が生まれると必ずこの魚を賀膳に供する。堅固の意味をとってそうするのである。もし鮮魚のない場合は干ものを用いる〉『和漢三才図会』(寺島良安 正徳3年/1713 東洋文庫 平凡社)
地方名・市場名
参考文献 場所一般、東京
参考文献 場所三重県、和歌山県など紀州
参考文献 場所京都府宮津
参考文献、聞取 場所大阪府和泉、兵庫県明石、愛媛県愛南町、高知県須崎、佐賀県、長崎県
参考文献 場所宮城県仙台、福島県小名浜
参考文献 場所富山
参考文献 場所富山県新湊
参考文献 場所山口県小野田
参考石田拓治さん、佐藤厚さん 場所島根県浜田市、長崎県長崎市・五島・雲仙市
参考文献 場所愛知県三谷
参考文献 場所新潟県能生町
参考文献 場所東京、神奈川県三崎など、新潟県寺泊、富山県、山口県下関、長崎県長崎市
参考文献 場所福岡県
参考文献 場所福島県、千葉県銚子、神奈川県川崎、三重県・和歌山県紀州
参考文献 場所茨城県水戸
参考文献 場所長崎
参考文献 場所長崎県
備考頭部がイゴダカホデリなどと比べて丸みがあるので。 参考石田拓治さん(長崎県長崎市) 場所長崎県長崎市
参考青森県水産技術センター 場所青森県八戸
場所青森県八戸市
参考青森県水産技術センター 場所青森県深浦
参考青森県水産技術センター 場所青森県脇ノ沢
参考青森県水産技術センター 場所青森県鰺ヶ沢
参考静岡県水産・海洋技術研究所・伊豆分場 場所静岡県白浜
場所静岡県静浦、島根県
カナドオ
参考文献 場所静岡県静浦、島根県
参考文献 場所高知県浦戸
参考グラバー図譜(『日本西部及び南部魚類図譜』) 場所長崎
備考市場では希に「イ」。これは[かな頭はイ」をしゃれたもの。 場所青森県、市場
備考東北などでキミヨと呼ぶのを聞いている。これは「君魚」すなわち殿様が食べる上等の魚という意味合い。 場所東北、秋田
場所山形県酒田市酒田漁港(山形県漁業協同組合)
場所山形県酒田市由良漁港、神奈川県三崎
場所福島県いわき市久ノ浜、島根県
備考獅子舞の頭を思わせるため。 場所石川県輪島市朝市
場所島根県
参考文献より。