イセエビ
珍魚度・珍しさ | ★★ 少し努力すれば手に入る |
---|---|
魚貝の物知り度 | ★ 知らなきゃ恥 |
食べ物としての重要度 | ★★★★ 重要 |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
概要
生息域
海水生。
茨城以南の太平洋側、韓国、台湾などにも棲息している。
生態
■ 浅い岩礁に棲む。
■ 雑食性で軟体類、棘皮動物、海藻などを食べている。
■ 産卵期は初夏から秋。
■ 孵化したものがフィロゾーマ幼生で1年ほどプランクトン(浮遊)生活を送る。
■ プエルルス幼生となって着底する。
■ 第二触角には薄い殻と根元には畝状に盛り上がりノコギリ状になっている発音器があり、触角を動かすとともにこすり合わせてギーギーと音を立てる(鳴く)。
基本情報
エビの語源ともなった国内でとれる大型種。伊勢でたくさんあがったのでこの名がついたとされるが、相模湾も産地のひとつだったようで「鎌倉エビ」の別名もある。
〈祖神伊勢神宮の神威にあやかるものとされ、さらに、老人の腰の曲がったさまになぞらえて長寿を祝し、威勢のよさを悦び、目玉の飛び出していることからめでたいとし、海の老(おきな)と書く文字からも縁起が良いとされている〉『ものと人間の文化史54 海老』(酒向昇 法政大学出版局)など縁起物として正月飾り、結婚式など祝儀などに使われる。
温かい海域の岩礁域に普通で、本州などでは最大級のエビでもある。
養殖が確立されていないので、総てが天然もの。
エビの中でももっとも高価なものだ。他には驚くとギーギーと鳴くことでも有名だ。
珍しさ度 一般的な流通エビのひとつである。高価であることで一般的な小売店では手に入れにくい。
水産基本情報
市場での評価 入荷は頻繁にある。値段は高値安定していて、安くならない。
漁法 刺し網
主な産地 三重県、千葉県、和歌山県、静岡県、長崎県、鹿児島県、宮崎県
養殖はまだ成功していない。
選び方・食べ方・その他
選び方
原則的に生きているもので持って重いもの。冷凍品は生を冷凍したもの。
味わい
旬は秋から冬
身にはグリシンが多く甘みがあり、ほどよく繊維質で口の中でほぐれる。
ミソにはまったくクセがなく、旨みが強い。
栄養
ー
危険性など
ー
食べ方・料理法・作り方
好んで食べる地域・名物料理
ー
加工品・名産品
釣り情報
防波堤や磯などの夜釣りのうれしい外道。
歴史・ことわざなど
冬 季語・歳時記は冬。
シーボルト シーボルト(1796〜1866)が自ら集め、オランダに持ち帰り、新種記載したもの。
祝儀 祝儀など晴の日に欠かせないもの。
正月 正月飾りに使われる。
鎌倉海老 関東では「鎌倉えび(かまくらえび)」と呼ばれていた。
武士の縁起担ぎ 甲羅が硬く鎧(具足)をつけた武士のように見えるので、縁起物として使われる。
エビフライ 『たいめいけんよもやま噺』に昔、エビフライはイセエビで作ったとの記述がある。今では考えられないことだが、実際にやってみたら、非常においしい。強い食感にナイフで切りながら食すといったもの。でも1尾1800円したものなので、今、料理店で食べたらいくらになるだろう。
えび色 「海老茶(えびちゃ)」というのはイセエビに似た濃い赤紫に黒みをおびたもの。明治大正期に女学生の袴の色として流行した。
はしかの薬 殻は風疹、はしかの特効薬との説もある。
エビ 「エビ」という言葉は分類学的には十脚目以外の甲殻類にも使われる。科学的な原語ではない。