202408/11掲載

トコブシの炊き込みご飯はウマスギてこまっちゃう

こんなにうまいご飯なんて他にない、と食べているとき思う


あまりにも定番的な料理で恥ずかしいけど、やはりトコブシの炊き込みご飯はとても、とてもうまい。
芸がないのにうまいので、自慢できないのも困りものである。
トコブシの足(筋肉)からも「つのわた(肝膵臓)」からもたっぷりおいしい、のが染み出してきて、ご飯にくまなく行き渡る。
このご飯がしみじみうまい上に、トコブシの足のほどよい歯ごたえと甘味が来て、おいしさが表現できなくなってこまっちゃうくらいなのだ。
そしてとどめが「つのわた」の味である。
小さな塊なのに、ここだけ熱い気がするくらいうま味が強い。
茶碗いっぱいで大河ドラマを1年見終わった気がするから壮大かつ、無辺である。

年々貴重な存在になっている天然のトコブシを使う


今回のものは、八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産でトコブシを発見した。和歌山県産らしい。
最近、アワビもトコブシも天然ものはめったに来なくなっている。
何かが海の底で起こっている、そんな不気味さがこの海藻を食べる巻き貝の減少から感じ取れる。
以上は前回書いた。
市場から帰り着く。少々暇なとき、というか持ち帰った水産生物が少なくて、処理しないといけない水産生物もさほどないときは、まず朝ご飯の用意をする。
まずは炊飯の用意をする。
新しい釜は一合炊きなので、一合の米を洗う。
ざるに上げて10分前後置く。
釜に入れて水加減をして30分ほどかす。
トコブシ3個を殻から外し、流水で洗い、水を切る。
つのわたはそのまま壊さぬように。
足は適当に切る。
炊飯の用意ができた釜にトコブシを全部放り込み、濃口醤油と酒少々を加えて炊飯する。
炊き上がり、蒸らしが終わるまで25分くらいだ。
なんのコツもいらぬ、普段着の料理そのものなのだ。

このコラムに関係する種

トコブシのサムネイル写真
トコブシTokobushi abalone、台湾/九孔海水生。潮間帯の岩礁域。北海道南部〜九州。台湾。・・・・
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