202408/01掲載

キンメダイの煮つけは東京の郷土料理

キンメダイは煮つけかな、と思う瞬間


もっとも月並みな料理であるがそれでも毎回、うまいなと思うのだからキンメの煮つけはすごい。
今回の煮つけは刺身などにした残りの兜半分に中骨だけなので、あっと言う間になくなってしまった。
脂が身に混在してきめ細やかな舌触りのいい魚はめったにないだろう。
身に甘味があって、とってもわかりやすい味なのでこんな早食いができる。
おやつ代わり、腹の虫をなだめるために作った煮つけなので、こんなにあっけないもので充分なのだ。
小骨が少ないのもいい。

骨湯を飲むのが煮つけの完全食い


骨湯(煮つけの残りに熱湯をそそぐ)を飲むと満足度が高まる。
これでなんとなく昼を過ごす。
暴飲暴食をしたあとの、これぞボクのダイエット食である。

小さくても脂が乗っていて身質がいい


今回のものは、八王子綜合卸売センター、細谷紙店の細谷さんが伊豆下田沖で釣り上げたキンメダイである。
目的は細部の撮影なので、いちばん小さいの(体長24cm・419g)を持ち帰ってきた。
以上は前回述べた。
キンメダイは駿河湾の一部と相模湾から茨城県沖までの一部の海域でしか、昔はとれなかった。
当然、関東周辺特に東京でよく食べられていた魚である。
言うなればキンメダイの煮つけは昔昔から、東京の郷土料理なのだ。
ボクが上京してちょっと高めの食堂で食べて、図鑑を見た、そんな記憶がよみがえる。
当時は現在の新漁場である高知沖も鹿児島県沖も、キンメ場(キンメダイが漁獲される海域)ではなかったからだ。
ちなみに今現在でも伊豆に行ったらキンメの煮つけ、だ。
非常に多彩な魚が揚がる伊豆で、東京でも普通に食べられるキンメしか食わないのも変だけど、まあこのおいしさなら仕方がない、かも知れぬ。

このコラムに関係する種

キンメダイのサムネイル写真
キンメダイSplendid alfonsino, 紅皮刀海水魚。未成魚は水深100-250m、成魚は沖合の200-800mの岩礁域。北海道釧路〜土佐湾の太平洋沿岸、新潟県佐渡・・・・
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