202406/03掲載

ときどき食べたくなるヒラツメガニのみそ汁

背中に背負っているHの文字


勝手にデ・ハーンものと呼んでいる。19世紀前半にシーボルトとその後継者たちが日本で集めオランダに持ち帰った標本を研究したもの。『日本動物誌』に記載されているものだ。ウィレム・デ・ハーンは甲殻類、シュレーゲルやテミンクは脊椎動物を担当している。
明治時代になり、いざ、国内の動物を調べようと思ったら、すでに非常に多くの動物が研究され記載済みだった、とわかったときの驚きは大きかっただろうと思う。これを、これまたボクは、勝手にシーボルトショックと呼んでいる。
このカニの標準和名のヒラツメガニの出所や理由がまったくわからない。どこが平たいのだろう。酒井恒というカニの大家もそれに触れていない。学名のpunctatus は斑紋があるということだけど、これもどうなんだろうな?
ゆでて食べるというよりも、みそ汁にされることの方が多い。昔、九十九里のはぐら瓜農家さんで買ったことがある。売っていたのが農家の方なのかどうかは不明だけど、みそ汁の試食つきだった。
そこでの名前が「ほんだがに」で自動車会社のホンダのマークのHからだ。そのものすばり、「Hがに」とも「すけべがに」とも呼ぶ。

外子の時季なのでみそ汁にしかならない


八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産に千葉県銚子から来ていたもので、カニの中でももっとも安いもののひとつ。
ふんどしから大量の外子がはみ出していて、本来は買わない体のものだが、みそ汁1ぱいのためにだけ買った。
作り方などというのも恥ずかしい話だが、表面の汚れを流水で洗い。
柔らかいので一刀両断にして水を張った鍋に放り込む。
煮立ててうまいだしが出たなと思ったらみそを溶くだけ。
汁をすすり、甲羅も殻もそのままにかぶりつき。
筋肉や外子などをすする。
意外に食べるところは多く、カニらしいおいしさが堪能できる。
きれいに食べるとうまくない。

このコラムに関係する種

ヒラツメガニのサムネイル写真
ヒラツメガニ英名/Swimming clab海水生。水深10m〜350mの砂泥地。北海道南部以南、九州、沖縄、八重山諸島。朝鮮海峡、黄海、中国。・・・・
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