202405/04掲載
クロダイの真子食べる? 食べない?
5月のクロダイは産卵間近で腹太り
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昔、千葉県勝浦市へスルメイカ乗り合いに乗ったとき、荒天でなんと客はボク一人だった。
今ではケータイがあるからドタキャンできるけど、海が荒れていると宿泊して翌日に出るということがあった。
泊まっていろんな魚話を聞いたとき、ボクがクロダイ釣りで勝浦に通っていることを聞いて、「漁師はクロダイは食べない」と言われたことがある。
千葉県保田で「ちんちん(クロダイの当歳魚)」を釣っていた人も「親は食べない」と話していたはず。
当然、千葉県の広い地域で真子(卵巣)・白子(精巣)も食べないのではないかと考えている。
体と比べて大きすぎる真子
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香川県観音寺市の市場で会った人から「ちぬ(クロダイ)は食べるけど、真子も肝も食べない」と言われたことがある。そのときボクは食文化を調べ始めたばかりで、その理由を聞いてみようとは思わなかった。
詳しくは書けないが、正岡子規の先輩でありながら俳句の弟子となった内藤鳴雪の半生記にも「ちぬ」をめぐる不思議な経験がのっている。
東京都では祝儀にはマダイ、不祝儀にはクロダイを飾ったり食べたりする。そのせいか、安くても仕入れない魚屋がいる。
広島県竹原市の92歳のオバアサンは「ちぬはそこらへんにいる魚だから食べない(要約)」と言った。確かに市内、「道の駅 たけはら」の前の用水路の暗がりに「ちぬ」の子がわんさか泳いでいて、「親もいるよ」と通りがかりのオッチャンが教えてくれたっけ。
このクロダイに関する忌避をもっとちゃんと調べて聞取すればよかった。