202401/24掲載

福井県の名品「いたや」はボイルホタテガイである

青森県産を福井県で加工したものだけど名品の誉れ高い

イタヤ,イタヤガイ

まだ、整理が出来ていないが市場だけで通じる言語は少なくない。これを集めて、徐々に分類していきたいと思っている。
例えば今、「赤魚の粕漬」と呼ばれているものを「たいかす(鯛粕)」という人は少なくない。これはアラスカメヌケとか輸入ものの赤いメバル科の魚の粕漬けである。最初は国産のアコウダイで作っていたもので、アコウダイの粕漬けが縮められて「鯛粕」になる。そのアコウダイがとれなくなり、高騰して使えなくなったので、輸入魚を使うようになる。たぶん、その遙かに昔は本当に鯛(マダイ)で作っていたのかも知れぬ。
福井県三国にある『日海水産』の名品、ボイルホタテ(ホタテガイのたぶん稚貝を塩ゆでにしたもの)もそのひとつ。市場の、年寄りの多くが「いたや」という。東京、豊洲市場を歩いていても、いまだに「いたや」という言語が生きているのがわかる。
今では「いたや」=イタヤガイではないが、昔は日本海でたくさん揚がったイタヤガイ(鳥取県気高町の貝殻節にうたわれるのはイタヤガイ)をゆでて出荷していたのだと思う。その内、イタヤガイが揚がらなくなり、青森県産のホタテガイに活路を見出す。
この『日海水産』のボイルホタテを「いたや」といまだに呼んでいる事実には、昔、信じられないくらいにたくさんのイタヤガイが日本海山陰・北陸などで揚がっていた、その歴史が保存されているのだ。
この『日海水産』のボイルホタテのすごいところは、これがないと困るという飲食店が少なくないことだと思う。

食べればわかる、このうまさ

ボイルホタテ

八王子総合卸売協同組合、舵丸水産で「食ってみるかい」と言われて、久しぶりに食ってみたら、やはり非常にうまい。
あえて言わせてもらうと青森県産のボイルホタテよりも、ボク好みだ。食べ始めると止められなくなる。
まだ調べていないので想像だが、青森県産ボイルホタテは、たぶん殻ごとゆでて身を外して、ウロや汚れを取って集荷しているのではないかと思う。
『日海水産』のものは剥き身のウロや生殖巣、汚れ、ぬめりを洗い落としゆでている。だから「白玉」というのだと考えている。
青森県のもの福井県のものどちらが好きか、は個人の好みの問題ではあるが、
ちょっとワインでも1ぱいやっか、てなときには『日海水産』の方がいいとボクは思う。

このコラムに関係する種

ホタテガイのサムネイル写真
ホタテガイGiant ezo-scallop, Common scallop, Frill, Fan-shell海水生。水深10〜30メートルの砂地に生息。東北以北、オホーツク海。・・・・
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