ホタテガイ
代表的な呼び名ホタテ
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魚貝の物知り度 | ★ 知らなきゃ恥 |
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食べ物としての重要度 | ★★★★★ 非常に重要 |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
分類 | 軟体動物門二枚貝綱翼形亜綱イタヤガイ目イタヤガイ上科イタヤガイ科ホタテガイ亜科Mizuhopecten属
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外国名 | Giant ezo-scallop, Common scallop, Frill, Fan-shell
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学名 | Mizuhopecten yessoensis (Jay, 1857)
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漢字・学名由来 | 漢字 帆立貝 Hotategai perryi Matthew Calbraith Perry(マシュー・ペリー 1794-1858)。黒船来航時(嘉永6年/1853)にアメリカ合衆国海軍東インド艦隊が、東京湾、函館湾から持ち帰った標本で記載。 |
地方名・市場名 |
概要
生息域
海水生。水深10〜30メートルの砂地に生息。
東北以北、オホーツク海。
生態
■ 水深10〜30メートルの砂地に生息。
生殖腺の色(白-雄、橙色-雌)。
■ 雌雄異体。
■ 産卵期は春、3月から6月。
■ 35日間前後のプランクトン生活をおくり、殻長0.3ミリとなって海底やロープなどに足糸で付着する。
■ 2〜3か月後、足糸を切って海底生活を始める。
■ 満1年で殻長3センチ、2年で7.5センチ、3年で9〜12センチ、4年で12〜15センチ。寿命は10年ほど。
■ 一般に紐(ひも)と呼ばれているのは外套膜であり、左右の貝殻にひとつずつついている。この外套膜に黒い小さな斑紋があるが、これがホタテガイの目(光を感じるところ)。
■ 急速に閉じたり開けたりして素早く動くことが出来る。
■ 外敵はヒトデ。
■ 刺身にされる部分は貝柱。貝柱と言うのは貝殻を閉じる閉殻筋と呼ばれる部分である。2枚貝の場合、この閉殻筋は前後に2つあるが、ホタテガイの場合、前閉殻筋はなくなって、後閉殻筋が大きく発達している。
■ 殻長20センチ前後。
【養殖】
■ 採苗は玉ねぎネットか採苗器を5月〜6月に海に吊し行われる。それまでは杉の葉に付着させていた。1960年代に陸奥湾で玉ねぎネットを利用する画期的な方法が編み出される。
■ 翌春まで中間育種が行われる。
■ ある程度に育った稚貝はパールネットというカゴに移され、4〜6センチに育てられる。
■ これを小さいまま出荷したり、放流したり、養殖したりする。
■ 養殖にはカゴ(ネット)を使うものと、貝殻の一部に穴を開けてロープに吊す方法(耳つり方式)とがある。
基本情報
東北以北の浅い砂地に生息する大型の二枚貝。イタヤガイ科のなかでももっとも生産量が多く、北日本で養殖・稚貝生産されている。純天然ものは非常に少ない。
古くは非常に高級なものだったが養殖されるようになり、庶民的な値段になった。
水産基本情報
稚貝 市場でベビーホタテ、ボイルホタテなどと言われるものは、ゆでる、もしくは小振りで出荷するために別立てで養殖したもの。
ボイルホタテ ゆでたものも入荷してくる。これを市場では「ボイルほたて」と呼ぶ。これを勝手に「イタヤガイ」だと勘違いしている。それで「ボイルホタテ」を「ボイルイタヤ」と呼ぶことがある。
干し貝柱・ひも 乾物もよくみかける。乾紐(ほしひも)、貝柱。貝柱は高い。
ホタテ卵 青森県などでは生殖巣だけの流通もある。
選び方・食べ方・その他
選び方
貝柱の大きいもの。生きにいいもの。
味わい
養殖もの、天然もの(直まき。すなわち放流)で大きな味の違いは感じられない。
貝柱は甘みが強く、ほどよく柔らかい。
刺身、焼く、ゆでる(煮る)などして美味。
また貝殻のままウロ(中腸腺)をのぞいてゆでる、焼くなどすると貝独特の風味、旨味、そして甘みが楽しめる。
ひもだけの流通もある。生でも煮てもいい。
生殖巣は産地周辺での流通が多い。
ホタテガイは雄性先熟で、最初の成熟期には雄で、翌年には雄の一部が雌に性転換すると考えられている。『ホタテガイ 東北大学農学研究科 水圏動物生理学分野』(長澤一衛、尾定誠)
栄養
タンパク質が多く、脂質が少ない低カロリー食品。タウリン(血圧を正常化、貧血予防、肝臓の解毒作用の強化、血中コレステロールの減少など)、亜鉛、鉄、銅を豊富に含んでいる。甘みはアミノ酸の一種であるグリシンから。ウロ(中腸線・肝臓)にはカドミウムが蓄積されている。かならず除去する。
危険性など
ホタテエラカザリムシ/甲殻動物亜門顎脚綱カイアシ亜綱キクロプス目ミチリコーラ科の寄生虫。貝紐や鰓のあたりにクリーム色もしくはややオレンジ色の花びらのような形で見える。寄生しているのは雌で、寄生されるとホタテガイはやせるという。また商品価値も著しく下がる。
食べ方・料理法・作り方
稚貝 汁(みそ汁、潮汁)、蒸し(酒蒸し、ワイン蒸し)
好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
水でもどして、もどした水はだしとし、貝柱とともに利用する。中華料理などで盛んに利用されている。
貝ひものみを乾物にしたもの。北海道、青森などで作られている。東京都多摩、奥多摩などでは冠婚葬祭などで作る煮染めなどに用いられる。
北海道、青森などで作られている。紐、生殖巣などをつけたままの状態で流通。産地でゆでてそのまま入荷したものは、加熱しないでそのまま利用。冷凍したもの、時間がたったものは加熱して食べる。
炙り帆立卵 ホタテガイの卵をあぶり地につけ込んだもの。『岡谷水産(茨城県大洗町)』。
釣り情報
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歴史・ことわざなど
■ 古くは高価な貝であった。
■ ホタテガイの缶詰は古くは輸出用、また高級食材だった。
■ 乾貝柱は中華材料、だし材料として高価なもの。
■ 貝殻を鍋として利用する。秋田県、青森県では「貝焼き」。
■ 貝殻は食器(コキーユ)として海外に輸出。
■ 貝殻はマガキの稚貝の採取用(付着させる)に使われる。
■ 「ホタテガイの天然採苗は1934年(昭和9年)北海道のサロマ湖で木下虎一郎によって行われたのが最初」。[伊藤博 北海道水産研究所]
■ 1970年代に養殖法が確立して値段が下がった。
■ 1970年代に養殖される量が増えるまでは生での流通は少なかった。
■ 現在の生産量50万トン前後、1959年には2万トンほどであった。
■Pecten maximus(Linnaeus)/ヨーロッパホタテは聖ヤコブの貝で「coquille Saint-Jacques(コキーユ・サンジャック)」。ホタテガイとは属が違っている。
地方名・市場名
場所不明
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所山形県東置賜上郷・西置賜郡長井・白鷹・西村山郡寒河江・北村山郡楯岡
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所東北地方、陸前高田
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所茨城県
サイズ / 時期稚貝 備考2月後半前後、ホタテガイの耳づり作業で、稚貝が小さいものや、変形している固体を選別「はじき」ます。これが安く市中にも出回る。 参考野呂恭成さん 場所青森県
参考20191217_18むつ市・大間町 場所青森県むつ市大畑
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所青森県五戸
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所青森県八戸地方、山形県東置賜上郷・東田川郡大泉
場所北海道などで商品名として