202401/03掲載

シマアジは、年取肴から、正月肴に変ず

西京漬けにしてもシマアジはシマアジ


明らかに歳のせいだが、やりすぎているな、と思ったら必ず体調不良に陥る。2023年は、いろんな業種のスタッフとわいわいがやがや楽しすぎる、と思ったら高熱に見舞われたり、眩暈で動けなくなったりした。
数年前よりサイトの形を本来目指していた形に変えようと思った途端に、ハードな日々が始まる。自分にくれた時間のおおよその長さが感じられるのは年をとってからだが、気がついたときにはもう遅い。日々追いかけられているという切迫した気持ちが抜けない。
ボクの場合、そこで見つけたのが絶望ではなく、より強固な目的達成への意志だ。だいたいぐうたらな人間なので大したことがやれるわけではないけど、目標はちゃんと見えている。伍子胥的ではなく、もっと遙かに明るい先の先だと思う。
大地震が起こり、航空機事故とたいへんな年の初めだが、それを考えている余裕がない。
さて、ボクの年取肴はシマアジだった。
年取肴は大言海にないところからすると、年取(大晦日)に食べるハレの肴・食べ物のことを最近になっていうようになったのだと思う。ちなみに年取は年齢に一歳重ねることなので、今現在の意味とはまったく違う。
ちなみに年取肴はありえるけど、年取魚はありえない。一般に東のサケ、西のブリなどとわかりやすい東西区分を当てはめるから、意味がぶれてしまうのだ。大晦日・正月に食べる酒の肴、もしくは食事のことなので精進でもいいはず。黒豆でもなますでも、昆布でも、すべて年取肴である。
暮れに体温が39度近くになって、ぼーっとした気分のままに西京漬けを作る。
いつもの西京味噌のつけみそで、いつものようにプラスするのはみりんだけ。
鹿児島市の田中水産、田中積さんにいただいた立派なシマアジを、大胆にも切り身にする。
振り塩をして1時間くらい置き(みその塩分濃度によっては不要)、水分を拭き取っておく。
これを地に漬け込む。
西京味噌のつけみそは塩分濃度が低く、そこにみりんなので非情に浸透圧が弱い。
ゆっくり時間をかけて浸透させる。
これをつきっきりで焦がさないように焼くだけだ。
脂がのったシマアジなので、地に漬け込んでもそれほど調味料が入っていない。
焼いても硬くならず、箸を刺し入れるといとも簡単にほぐれる。
口に入れるとほろほろと脆弱に崩れ、みその甘さと、身の甘味が合わさって、甘いになる。
これにズームのやり方を教えに来てくれた近所の若い衆がくれたコンビニ塩むすびで、歳を重ねる。
コンビニお握りのおいしさも再認識したし、シマアジの西京漬けのおいしさも思い知る。
翌日は蒲鉾をプラスし、赤飯お握りをチンして、ちょっとだけゴージャスな新年となる。
今回は鹿児島のうんまかシマアジで歳を重ね、新年を迎えた。
田中さんには感謝せねばならぬ。

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シマアジのサムネイル写真
シマアジWhite trevally 黃帶擬鰺 台湾/甘仔、瓜仔、縱帶鰺、石午(澎湖)、白魽海水魚。沿岸の200mよりも浅い中・下層。伊豆〜伊豆諸島、青森県〜九州南岸の太平洋沿岸(茨城県以北には未成魚)、[兵庫・・・・
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