202310/22掲載

月〜日曜の週間トップ ウマスギ GO! GO! キアマダイのポワレ

キアマダイはアカアマダイに似てもいる

キアマダイ

鹿児島県鹿児島市、タカスイからキアマダイ1.1kgがやってきた。アマダイ科で1㎏上はおしなべておいしい。過去に外れなしである。
余談になるが築地場内が無法地帯のとき、アマダイ科の荷の前で、「白赤黄でなんとかかんとか……」といいながら、「黄はまずい」と家族に大声で話している大バカオヤジがいた。仲卸の店員が嫌な顔をしていたのは真ん中に黄があったためだ。こんなバカに限って㎏上の赤の値段を聞いてくるものの、買いもしない。1㎏1万円と聞き、素人丸出しに驚いたのかも知れない。
ちなみに大型の赤と同じく大型の黄は、確かに少し安いものの、そのとき㎏あたり8千円だった。しかもアマダイ類の山の中に黄は1尾だけ。黄が混ざっているだけでも珍しいことから、意外に黄を食べたことのある人はほとんどいないはずなのだ。ちなみに黄を買ったのはボクで、土曜日だったので、思い切り値引きをしていただく。
このような典型的バカは分かりやすくて罪がないので、仲卸も追い立てたりはしない。けど世の中、自分が食べてもいないのに、評価を下すバカが多くて困る。どんな食い物も食ってから評価せよ。

若狭焼きがうまいのは当たり前


キアマダイ1.1kgは大きいので様々に料理、様々な部位の味の違いを確かめた。「若狭焼き」はやはり文字に出来ないくらいにうまくて、さすが西暦794年からの都で生まれた料理はすごい、とうなったものである。
京都人のすごみは、「ぐじ(アマダイ類)」の鱗と、鱗と皮の間の非常に薄い部分のうまさを発見したところにある。
それでは、様々な魚を食べて食べ尽くし、キアマダイの他の料理もあれこれ作って、1週間でいちばんうまかった魚料理は「キアマダイの若狭焼き」ということになるが、微妙である。
何度も作っている若狭焼きはあまりにも当たり前にウマスギで、GO GO! と踊り出すほどではなかったのだ。

まさか油でソテーしてうまいなんて思わなかった

簡単なのに豪華なキアマダイのポワレ

むしろ、ポワレのウマスギに踊らされたかも知れぬ。意外だったのもある、これほど味のある魚をソテーしてもいいのだろうか? しかも超高級魚なのだなどと迷った末のポワレ、だ。
鱗をとらないまま三枚に下ろして、切り身にする。水分をよくきり、塩コショウする。
これを多めのオリーブオイルの中で、身の方を下にしてじっくりソテーする。ソテーしながら油をすくっては皮にかけ(アロゼする)、鱗を立たせる。
ほとんど火が通ったら裏返し、へらで押さえながら仕上げる。
切り身とこぼれ落ちた鱗を皿に盛る。
残ったフライパンにローズマリー、白ワイン、ライムジュースを入れて沸き立たせて乳化させる。味見して塩加減してソースにする。
たぶんアマダイ類にしか生まれない味わいが味わえるのがポワレかも知れぬ。
鱗のかりっと香ばしいところ、皮と皮直下の豊かな味わい。そして身の甘味と、適度に繊維質で口の中でほどけていく心地よさ。
あまりにもウマスギなので、禁酒中にもかかわらずシャブリを1グラスのみ、やっちまう。

このコラムに関係する種

キアマダイのサムネイル写真
キアマダイTilefish, Blanquillo海水魚。水深30-300mの砂泥地。アマダイ類ではもっとも深い場所に生息。千葉県銚子、相模湾、駿河湾、紀伊水道〜九州南・・・・
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