小マサバの中から上物を選別する
大きさも鮮度も、身の状体もばらばらのマサバ
相模湾、マサバ
9月14日は、もう1週間も前のことになるが、神奈川県、小田原魚市場ではマサバの小が大量に揚がっていた。中には加工用に引き取られていくのもあるだろうけど、後の残りは飼料とか場合によっては輸出用となるのだと思う。
この小型のマサバは未利用魚ではないが、ていねいに大きさと質を選別すれば、ちゃんと流通できるものがかなり紛れ込んでいる。なぜ選別しないの? というと人手が足りないからだし、流通しても確実に利益が出るとは限らないからだ。
最近、未利用魚という言語で商売をやらかしている人達がいるが、未利用魚でもなんでもなく、むしろ高級魚を売っているところなど詐欺に近いものまである。未利用魚は漁業者を助けるというのが目的なんだけどな、なんて考える。
例えば未利用魚に価格の低いというのが入るなら、この大量に揚がった小マサバを再選別して積極的に利用法をアドバイスし、流通させてはいかがだろう。
とここまで書いてきて、ではボクにその上物が選別できるのか? と問いかけてみた。せっかくなのでやってみた。数百キロの中から、しかも大小混じりすぎの中からいいものを選ぶのは大変である。やってみてすぐにあきらめてしまったのは人間性の問題かもしれない。
無造作に数本選んだだけで、ままよ、なんて居直った。そこに二宮定置の山崎さんがきて「これがいいんじゃないですか?」と、ひとまわり大きいのを手渡してくれたのだ。
帰宅して計測する。計7本持ち帰り、最小は干もの用に外し、計5本を干もの以外にしたいと思ったが、刺身を考えると残りは、2本で、小さい方がボクの選の24cm ・167g、大きい方が山崎さん選の26cm・233gだ。
だんぜん山崎さん選がよかったので、刺身用に水洗いしてペーパータオルにくるんで保存する。
厳選したマサバを刺身に
マサバの刺身
まあ早い話がその夜、この山崎さん選の刺身で宮城県の酒、綿屋をやったのだけど、自分の見る目のなさに絶望した。
ただ、選別さえすれば流通できないサイズであっても、例えば豊洲で売られている超高級マサバに負けぬ味だということを痛感する。
値の違いは小田原の小サバは刺身で食べられるのは当日限りだけど、超高級マサバは翌日にも刺身になるという理由から生まれる。
ちなみにしめさばなら、小マサバはキロ5000円以上のマサバに決して引けを取らない。
さて、水洗いして三枚に下ろして腹骨・血合い骨を取る。皮を剥いて刺身にした。ここで酢洗いすることが多いけれども今回はしなかった。
驚いたことに、4分の1㎏サイズなのに、ほどほどに脂の存在が感じられた。マサバらしいうま味も豊かで、この刺身キロ5000円かなと思う。
ボクも二宮定置の選別を手伝って、選別力をつけないとダメらしい。