202309/17掲載

意外に小田原では珍しいタイワンガザミ

カニ界のド派手マンそのもの


神奈川県小田原市、小田原魚市場に水揚げされるカニの量はそれほど多くはない。相模湾ではむしろ東の海域に多く、西の海域に少ない気がする。
それでも小田原魚市場に揚がるカニを、思い浮かぶだけ挙げるとガザミ(ワタリガニ)、ジャノメガザミ、タイワンガザミ、トゲノコギリガザミ、アカイシガニ、アカイシガニモドキ、深海性ではタカアシガニ、オオエンコウガニなどなどかなりの種にのぼる。
今回9月14日の小田原魚市場の生け簀に泳いでいたのはタイワンガザミである。たぶん定置網で揚がったもので、脚一本取れていないし、雄なのでコバルトブルーがド派手に目立つ。
考えてみると最近、ガザミは買っているが、タイワンガザミは長いことお目にかかっていない。調べてみると1年振りの雄である。よくガザミと比較して落ちるとかなんとか言う人がいるが、決してガザミに比べて引けを取ることはない。最近、高値安定なのはうまいからだと思っている。

非常に赤の発色がいい


苦手なシメを仲買の『さんの水産』さんにやってもらう。やり方はわかっているつもりなのだが、どうもボクがやるといきなり脚が落ちたりする。見事に締められたのを、持ち帰ってすぐに塩ゆでにする。
強めの塩水で13分(加減をみて)ゆでて流水で粗熱をとるだけなので、非常に簡単としかいいようがない。
ガザミ科でもガザミ、タイワンガザミを食べるたびに思う事だけど、筋肉の滑らかな舌触り、カニらしい風味。後から来る甘味などバランスが非常にいいのである。

身には独特の風味がある


その上、今回のタイワンガザミは香りが素晴らしかった。このカニの香りは体験してもらうしかないけど、ワインではないけれど湿り気のある秋の落葉から立ち上るような、有機的なものだ。
食べた後の印象がズワイガニやケガニほど重くないのも魅力だろう。
食べたそばから食べたくなる、と言ってもよさそうである。

このコラムに関係する種

タイワンガザミのサムネイル写真
タイワンガザミ海水生。[宮城県気仙沼]、東京湾、相模湾以南の太平洋側、山形県以南・[新潟県親不知]の日本海、琉球列島。中国、台湾、・・・・
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