202307/11掲載

夏だ、イシガキガイだ!

陸前高田市、広田湾の方達に感謝!

エゾイシカゲガイの貝

岩手県陸前高田、広田湾から今年もイシガキガイ(エゾイシカゲガイ)がやってきていた。八王子でこんなに高いものを持ってこれるのは、八王子綜合卸売協同組合のマル幸しかない。なにしろ今や閖上のアカガイと変わらないというか、以上の値段がつく。
本種はもともとは浅場の底曳き網などで混獲されるものでしかなかった。それが細々と入荷していただけだ。これをもちろんプロの間でのことだけど、高級二枚貝として認知されるようになったのは、広田湾で養殖され始めてからだ。
ちなみに二枚貝の養殖は比較的栄養分の多い海域に稚貝を保護して育てるだけ。魚の養殖と比べると汚染も膨大な魚粉を消費することもない。
毎年、広田湾からの荷を見る度に、夏だな、とマル幸のクマゴロウと話している気がする。今年も入荷の度に刺身用に数個ずつ買う日々が始まったことにもなる。
エゾイシカゲガイはトリガイと同じザルガイ科で見た目が似ている。違いは強い放射録と貝殻の厚みである。筋肉はトリガイは黒、エゾイシカゲガイは黄金色だ。

イシガキガイはトリガイよりも易し

エゾイシカゲガイの刺身

トリガイは持ち帰るとすぐに剥いて開いて湯通ししないとダメだけど、エゾイシガキは食べる直前にやればいい。部屋から昼の月を見ながらうんざりするほどデスクワークをし、部屋の掃除をして、洗濯物を干して、逢魔が時にシャワーを浴びる。
エアコンの室温を24度にして冷え冷えしてきたら、3個だけしか買えなかったのを取り出してきて、剥き身にする。トリガイは色素が剥離しやすいので薄氷を踏むよう、ひやひやしながら処理しないとダメだけど、エゾイシカゲガイの色素は強靱なのでスイスイと、だ。
軟体から足以外の部分を外す。足はぎゅんと縮んだり、伸びたりするので、縮んだときにエイッヤッっと包丁で裂く。
最近、お気に入りのマイクロファイバーのウェスというものの上で水分をきり、塩水を沸騰させる。
沸いてきたら冷水をコップ一杯入れたなかに放り込み、クビッと締まったら氷水に取る。後は水分をきり、まな板にパシッとたたきつけて皿に盛る。
エゾイシカゲガイの刺身の撮影は非常に面倒だ。時間をかけていられないので、適当に撮るだけだけど、まるでわがまま小僧におすましさせるくらいじっとしていない。
さて、さっぱりしたボクは気温26度の中で北海道で買った『北の勝』という純米酒の冷え冷えを用意して、あとは黄金色に耽溺する。
エゾイシカゲガイが慶長小判に見えるくらいうまい。

このコラムに関係する種

エゾイシカゲガイのサムネイル写真
エゾイシカゲガイBering Sea cockle海水生。水深10メートル〜100メートルの砂泥地。鹿島灘からオホーツク海。・・・・
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