202306/20掲載

今季、サワガニの初食いは梅雨半ば

蟹の語源はサワガニ

サワガニのパック

サワガニは春になると入荷し始めるもので、毎年春になると初物を買っては食べていた。今年は慌ただしくて、これが梅雨時にずれ込んでしまった。
料理法はいたって簡単。ボウルなどに入れて水を少し入れて表面の汚れを落とす。水分をよくきって、素揚げにするだけだ。
料理中、よく逃げ出すので要注意!
さて、徳島県美馬郡貞光町(現つるぎ町字町)の商店街に生まれて最初に見たカニは、生まれた家と隣の家の間の小さな排水路にいた、イデンコガニ(サワガニ)だ。それほど身近な存在で川に行っても山に行っても、我が家にいても出合える、気にも留めない生き物だった。
イデンコガニの「いで」は「小さな水路」のことで、「んこ」は特別小さなという意味、そんな場所にいるカニということだ。「いで」ということばは香川県でも使われている。四国は平安時代の言葉がよく残っているとされるので、非常に古い言葉かも知れない。蛇足だが、ボクの故郷では大きな用水路には「お」をつけて「おいで」といったが、徳島県西部だけの言語かも。
ちなみに蟹という言語を動物学的な言語と思っている人がいるが、大間違いだ。タラバガニは蟹(カニ)じゃないなんて聞くと無知さらしおって、なんて思う。蟹という言語の歴史は古代にまでさかのぼる。言語の生まれるところは、主に都周辺で、古代の都は奈良県、京都府(現京都市の中心地)とすると淡水性の蟹に対しての呼び名となる。当然、もっとも身近にいる淡水性の蟹といえばサワガニである。

いつ食べてもビールがすすむ

サワガニの素揚げ

さて、サワガニはあまりきれいなところにはいない。ときどき道路を歩いていたりする、この小さなカニを故郷で食べ物だと思ったことはなかった。
上京して初めて家族と行った、銀座の和食店で素揚げになって出て来たときはビックリ仰天した。尊敬している山口瞳のエッセイですでに知識としては知っていたが、眼の前にくるとイデンコガニそのものなので余計に驚いた。
毎年サワガニの初食いをするたびにこんなことを思い出す。
サワガニの地方名を知っている方、教えて頂けるとありがたいです。

このコラムに関係する種

サワガニのサムネイル写真
サワガニFreshwater Crab淡水性。本州、四国、九州屋久島までの淡水に棲息している。・・・・
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このコラムに関係するサワガニ属の種

サワガニのサムネイル写真
サワガニFreshwater Crab淡水性。本州、四国、九州屋久島までの淡水に棲息している。・・・・
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