202305/07掲載
銭州のウメイロは腐っても鯛以上
小振りだがうまし、銭州のウメイロ

八王子総合卸売協同組合、マル幸、クマゴロウは天才釣り師だと思っている。今季初銭州釣行で大型クーラーに入りきれないくらい釣り上げて来た中に本命あり、ウメイロありで、いろいろありすぎて切りがなくなるので、後々に紹介したい。
ウメイロは古くから東京の魚であった。小笠原があるためだけど八丈島や神津島でも揚がり、築地などを歩いていても至って普通の高級魚だった。ただし例えば料理店でも決まり切ったものしか仕入れない、魚自体には好奇心がない手合いには未知の存在だったはずである。この決まり切った魚だけしか買わないという料理人が、今でも大勢を占めているのだから嘆かわしい。
東京都産が主流だったところに、鹿児島県産がきて、高知県や和歌山県、長崎県からもくるようになり、また伊豆諸島(東京都)すなわち新しい江戸前でもとれる時季が早くなり、明らかに漁獲量が増えているようなのだ。
さて、クマゴロウが大量に釣り上げてきたウメイロの中でももっとも小さいのを1尾だけ連れてきた。
小さいけれど持ち重りがする、なんてことがわかる人いるかな? 体長30cm弱、0.5kgなのに重く感じるのは身に張りがあり、その身が緻密だからである。
クマゴロウ曰く、ばっきばっきに新しいけんね、というのは釣り上げるといちいちていねいに活け締めにして血抜きをしているためだ。
正統派の刺身

帰宅して水洗い、刺身にわさびをすり、焼霜造りにいただきものの徳島県産柚子胡椒をそえた。
期待しすぎて食べたら、その大期待以上にウマスギであった。
刺身の直球なうまさに、焼霜の複雑かつ香り高い味わい。