202304/30掲載

久しぶりの縞海老(モロトゲアカエビ)

生で食べられるタラバエビ科ではもっとも入荷量が少ない


今では当たり前のことだけど、昔は消費地でエビを生で食べることは希であった。生かして流通できたイセエビ、のちに生かしての流通が可能になったクルマエビなどは比較的早くから生で食べられていたが、特殊な例である。エビを生で食べるということが普通になったのはタラバエビ科の甘エビ(ホッコクアカエビ)が登場してからだ。
ボクが初めて甘エビを食べたのは、1970年代半ばで家族に連れられて行った銀座の飲食店だ。家族はすでにデパートで食べていたらしい。
その甘エビに仲間がいて、東京都内にもやってくるのも同時期かも知れないが、最初は太平洋側のボタンエビとブドウエビ(ヒゴロモエビ)、次ぎに日本海側のボタンエビ(トヤマエビ)が来て、最後に本種モロトゲアカエビが加わったと考えている。
それにしても高速のない時代、甘エビの産地、新潟県も、今回のモロトゲアカエビの産地である日本海も当時は非常に遠かった。

鮮やかなな赤がいい


タラバエビ科は夕方くらいまでは生で食べられるが、翌日には身の色がくすんで、たぶん料理店などではお客に出せないはずである。
ボクなどは魚屋が箱のまま持ち帰ってきて、箱を開けると鮮やかな赤に染まっている。その鮮やかさが消えぬ内に食べる。
今回のモロトゲアカエビは産地不明だが、鮮度からすると増毛産ではないかと思う。新しいので殻が剥きにくい。半剥きのまま身(筋肉)と外子を食らい。その呈味成分が作り出すねっとり感と甘み、そして新しいからこその食感を楽しむ。

みそがうまい


半端なので3.5尾しかないのが残念だが、わずか4gの雄が意外にもおいしいではないか。
みそのうまさまでたっぷり味わって、合わせたのは酒ではなく台湾産凍頂烏龍茶だけど、よく10分間であった。


このコラムに関係する種

モロトゲアカエビのサムネイル写真
モロトゲアカエビMorotoge shrimp海水生。水深180〜530メートル。日本海側、島根県〜北海道。サハリン、朝鮮半島東部。・・・・
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