202304/06掲載

4月4日 カガミダイ二品

シルエットはマトウダイそっくり


八王子綜合卸売協同組合、マル幸にカガミダイが来ていた。
脇を「なーんだカガミダイか」という人が通り過ぎていく。カガミダイってこんな魚で、要するにこの魚の真価を知る人少なし、なのである。
昔の(今でもかも)魚の書籍は食に関しては非常に低級なものが多い。田中茂穂など食べていないがまずいらしい、的なことを述べていたり。また間違いなくいい加減なことを知らないくせに書いていたりする。魚類学者よりもむしろ脚本家の田井洋子の方が、実際に食べてああでもないこうでもないと試行錯誤していることに好感が持てる。
このいい加減な魚本に今でも感染している愚かな人がいるのも、困りものである。最低でも実際に食べて、自分で考えるべきで、絶対に食ってない魚の評価はしてはいけない。
マトウダイと比べておいしくない、なんてことを真しやかに言う人が少なくないのに驚く。カガミダイの大型は決してマトウダイにひけをとらない。だいたいマトウダイだって大きくないとおいしくないのだ。
今回の愛知県産は小で0.8kg、大きいと1.5kgくらいある。このサイズならハズレがない。
その上、最近高騰している魚価の中にあって、野締めであるにしても安いではないか。大量に地方から送られてくるであろう魚の予定がなければ、最大を買ってもよかったが、控えめにジャスト1kgを確保する。
帰宅後、総菜作りに励む。下ろしてみると刺身でもいける、と思うほど脂がのっている。やはりアタリだったのだ。

たまには酢のきいた総菜もいい


三枚に下ろして背の部分に塩コショウする。腹部分は酒・醤油・みりん同割りの祐庵地につけこむ。
背の部分は片栗粉をまぶして表面がさくっとするくらいに揚げる。揚げたてに甘酢あんをかける。甘酢あんはカツオ節出し・酒・塩・砂糖を合わせて一煮立ち。少しずつ酢を加えて加減する。
ここに玉ねぎ、にんじん、椎茸を加えて煮て、水溶き片栗粉であんにする。
レンゲですくいながら新発売だという赤い缶のビールをぐびりごくごくなのだ。

常備菜にしたいけど


翌日の朝ご飯は、起きてすぐに祐庵地から取り出して腹身の水分をよく拭き取り、常温に置く。
副菜がととのってきたら、じっくり焦がさないよう焼き上げる。
脂があるためかふっくら焼き上がる。
幽庵焼きを主菜に、オオカミウオの中骨の潮汁、たくわん、チシャ(サニーレタス)とカタクリのなますで、和、和、和ーな朝ご飯が揃い踏み。
幽庵焼きは一枚だけにしようと思ったが、左右二枚が一食で腹に消える。

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カガミダイのサムネイル写真
カガミダイJohn Dorey, Mirror dory海水魚。水深40〜800メートル。主に水深160〜260mに多い。北海道〜九州の太平洋・日本海・東シナ海、瀬戸内海西部・・・・
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