202302/27掲載

産地不明クロダイで鯛ちり

春なれどクロダイのちり鍋で暖をとる

クロダイちり鍋

千葉県内房竹岡産に味をしめたので、地元、八王子の市場で、こんどは活け締めのクロダイを買う。産地不明で1.5kgもある。
刺身にして、煮つけにして、塩焼きにしてと食べて、おいしいにはおいしいものの、味ではひとまわり小さい竹岡産に軍配が上がる。やはり活魚がいいのか、もしくは卵巣の膨らみは今回の方が大きく、そこに味の優劣が出たともいえる。
春のクロダイは生殖巣の成熟度で味が決まる。あまり成熟が進んだものはおいしくない。
2月もあと数日という日である。昼間は暖かいが、朝夕は寒い。まだまだ冬の鍋がよいと、鯛は鯛でもクロダイで「鯛ちり」にする。
「ちり」は関西の料理だろう。同じく山陽、四国の一部では同様の鍋を「水炊き」という。昆布だしに酒・塩の単純な味つけの汁で煮ながら食べる。素材そのものの味が楽しめる。
「鯛ちり」の「ちり」は、汁に魚の切り身を落とすと、ちりっと縮むので「ちり」だというが、個人的には素材を「いろいろちりばめた」ので「ちり」だと考えている。

ぬる燗の酒でつつく鍋のうまさ


残念なことに3月を前に芹も味のいい三つ葉も高い。今回は水菜を青みに使う。後は豆腐にエノキタケ。
水洗いし、三枚に下ろす。中骨と昆布でだしをとり、酒・塩で味つけしておく。
切り身、腹の骨つきの身などは食べやすい大きさに切り、湯通しして冷水に落とし、表面のぬめり、残った鱗を流し水分をきる。
鍋汁が沸いてきたら野菜と切り身を煮ながら食べる。
鯛ならぬクロダイの「鯛ちり」で暖を取りながら酒を飲む。好みの加減で煮た身が、うま味豊かでしかも後味がいい。合いの手に食べるはずの水菜も茸も忘れるほどにおいしい。
酒は兵庫県養父市「銀海酒造」の「稜線」をぬる燗にしてみた。ほろ酔いでつつく鍋、やたらにうまし。

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