旧暦4月25日、三重県産2.1kgカツオの刺身は初鰹の味
江戸の名優、中村歌右衛門でも食うこたー、できめー

江戸時代の初鰹は4月・5月(旧暦)に相模湾でとれるカツオのことであった。
新暦にすると5月下旬から6月半ばくらいまで。
大きさは2kgくらいが多かっただろう。
今回のカツオも2.1kgなので江戸時代に初鰹として持てはやされたサイズだ。
今では相模湾だけではなく日本全国から時季を問わず、このサイズがやってくる。
相模湾の例えば鎌倉(現神奈川県鎌倉市)で揚がったら、足の速い若い衆が水をかけながら走ったとしても、それほど冷やせないまま、65㎞として10時間近くかかったはずだ。
さて、現在、中央市場など市場の休日は水曜日と日曜日である。
基本的に前日にとれたものを仲卸などで販売するが、木曜日は微妙である。
火曜日に水揚げされたものである可能性があるからだ。
ただし、今や流通の発達から鮮度からすると、飛躍的に向上している。
本個体は火曜日水揚げと見たが、非常に鮮度がよく、血液がさらさらとして見事である。
魚はばっきばっきに鮮度がよいからよい、とは限らない。
これで十二分にいい、のだ。
しかもそれだけ安い。
江戸時代に3両(いろいろ説はあるけれど最低30万円〜60万円くらい)払った三代目(?)中村歌右衛門に食べさせてあげたかったくらいである。
2㎏ものなのでそんなに脂はないが、このあっさりと軽い味が矢鱈にいい。
酸味があまりなく、強いうま味だけが舌に残る心地よさは例えようがない。
古今亭志ん生、金原亭馬生は刺身といえば中トロ(クロマグロ)だったという。
ボクはカツオだな、なんて思う。
調べものが多すぎてへこたれているので、大量のにんにく、醤油に少量の煮切りみりんで、背肉の全食いである。
夕方なのに神奈川県松田町「松みどり」を半合。
しばしベッドで奥州史の世界へ。