202505/04掲載

故郷の味、きゅうりとじゃこ、ワカメの酢のもん

徳島県西部ではあまりにも普通の酢のもん


個人的に料理はできるだけ簡単に、時間は短く、こだわりを捨てて作りたい。
料理の距離は1ミクロンでも短く、だ。
意外にそのような、どうでもいい感じの料理の方がうまい。
遙か昔の昔、親戚のおばちゃんが作った、竹の子のたいたんが、いまだに心に残っているが、作っているところなんざー、見ていられませんといったいい加減なものなのである。
だけど、竹の子1本食い切るくらいにうまい。
これが家庭料理の神髄なのだ。

さて、酢のもん(酢のもの)の話だ。
ボクの故郷は徳島県美馬郡貞光町(現つるぎ町)だが、親戚の多くは、吉野川の対岸にある美馬町(現美馬市美馬町)に住んでいた。
だから再三再四、美馬町に、赤い美馬橋を渡って行ったいたものである。
さて、そんな美馬町も我が貞光町でも、日常的にも冠婚葬祭のときにも作っていたのが、じゃこ(ちりめんじゃこ/カタクチイワシの稚魚をゆでて干したもの)と鳴門ワカメと、きゅうりの酢のもんである。
作り置きすると10日間くらい食べ続けられる。
食卓にあるとありがたいもので、要するに保存食だ。

そこいらに普通に売られているものを集めただけ


材料は、愛知県豊橋市『サンヨネ本店』で買った、かえり(カタクチイワシの稚魚よりも少し大きくなったものをゆでて強く干したもの)、『Aコープしんしろ店』(愛知県新城市)で買った刺身わかめ、家にあったきゅうりだ。
酢は市販のすし酢で、愛知県知多郡阿久比町、『三井酢店』のもの。
本当は酢・砂糖・塩を合わせて一煮立ちさせ、三杯酢を作った方が安いが市販品の方が簡単である。
すし酢ではなく、いろんなそのまま使える、いろんな名前の酢があるのでお試しを。
刺身ワカメとは塩蔵ワカメや生ワカメをゆでて、すぐに食べられるようにしたもの。今回は帰宅後がハードなので、簡単なものを選んだ。

火を使わないで合わせるだけだ


作り方は簡単。
刺身ワカメを適当に切る。
きゅうりは薄切りに。
かえりちりめんはそのままで、3つを合わせる。
すし酢(三杯酢)を加えて混ぜて保存容器で保存。

出来上がりまではできれば24時間待つのだよ


4,5時間経てば酢が馴染んで食べられる。
ちなみにできたてはまだ生々しく、刺々しいけど、ときどきついつい箸が伸びてしまう。
出来たその時から、なくてはならぬものとなっているはずだ。

本当においしいのは翌日からだ。
完成に最低でも4、5時間。
できれば24時間くらいはほしい。

酢のもんは後になるほど味が馴染んでおいしい


作ってから8日目になると、かえりが柔らかくなり、素材が完全に一体化する。
酢のもんは後になるほどうまい。
さて、最後に、今回のすし酢は甘過ぎだった。
徳島県西部の料理は比較的薄口である。
薄口で育ったから、甘すぎるのであって、愛知県ではこれなんだろうな?

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