202412/31掲載
おおつごもりなので、ひげだらの昆布締めをば
決してわかりやすい味ではない

まことに奇妙な魚である。
東京で矢鱈に高いのに、その高さは東京都周辺だけの話で、西に行くとなんだこれは、となる。
最近では大阪でも少々高いと言うが、東京と比べると需要がない。
佐世保で1キロ級を集めて、東京へ飛ばす(出荷する)、という人に会っているが、そのような魚なのである。
大型は東京を目指す。
余談になるが1キロ前後以上は豊洲市場という舞台に立てるが、小さいものはしがにもかからない。
もっと小さいのは明らかに未利用魚である。
ヨロイイタチウオは日本魚類学の父、田中茂穂の命名だが、東京ではもっぱら「ひげだら」である。
大きなくくりではタラに近く、本種のアシロ科で唯一の流通魚である。
今回は長崎産であるが、主に九州、山口県などからやってくる。
昆布締めは締まり具合を見るために、もういいかな? とときどき味見する。
この時間が、とても大好きさ♪ なのだ。
1日、締めた状態で食べたら、食べられたけど、本当に味がよくなったのは3日目である。
昆布の香りが口中を満たしていながら、切りつけた身はそんなに昆布の味はしない。
上品な白身で、ほどよいうま味と食感があるだけだ。
本当の味はほんの少し後から来る。
昆布と白身の合わさったおいしさと、甘さである。
この味わいに時差があるのが昆布締めのよさなのだ。
少しずつ、切りつけてほぼ一週間楽しんだが、昆布を残してなくなって、必ず手に入る、豊洲にまた行きたくなったものの、財布の中身がそれを許さず。残念無念。