202411/12掲載

戻りガツオ以前? 気仙沼のカツオ

脂ののりなんてどうでもよいな、このうまさ


市場の若い衆が気仙沼産のカツオを二枚に下ろしながら、「今年は遅れているようですよ」って、なにがさ?
「戻ってくるの(南下)が遅れている」のではなく、下ろしているこのカツオの脂の乗りが「戻り」、ほどではないと言いたいらしい。
ある意味、これから「戻りガツオ」らしくなる、とでも言いたいようでもある。

今回のカツオ買いの目的は刺身ではないが、カツオといえば刺身なので、背の方を刺身に引いて、さっそく味見する。
「戻り」が遅れているというとおり、脂の乗りは今イチだが、ボクにはちょうどいい加減だ。

確かに「戻り」特有の分厚い脂の層は見られないものの、切りつけた身は白濁して柔らかい。
ほどよい脂と、うま味に満ちている一切れに、厚めに切ったにんにくをのせて、わけぎをまぶしつけて口に放り込んだだら、言うに言われぬおいしさがぱっと口中に広がる。
琵琶湖からボクにしつこくついてきた風邪小僧を、吹っ飛ばすおいしさだ。
秋になると最低週一ていどはカツオが食いたいものだ、と思わせる味でもある。
「戻り」手前のカツオの刺身で酒ではなく、冷たく冷やした偽ビールをやると、体が軽くなる。

気仙沼のカツオはこれから戻る、のか?


11月11日八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産に宮城県気仙沼産のカツオが来ていた。4.4kgの半分を買ったが、鮮度抜群だった。
ただし「戻り」と冠するには少々脂が少ない。
市場では今年は戻ってくるのが遅れているというけれど、まさか11月なのにそんなことあるんだろうか?
さて、血合いを取り、背の方の皮を引いて刺身にする。
わけぎとにんにくを添えて、新しく福井で買い求めた皿に盛る。
■舵丸水産は、一般客に優しく、水洗い・下ろしなどをやってくれるので、ぜひ近くにお住まいの方は一度お寄り頂きたい。

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カツオのサムネイル写真
カツオStriped tuna, Skipjack tuna, Oceanic bonito海水魚。日本近海。本州以南にいる。日本海には昔は少なかったが2023年時には増えつつある。朝鮮半島南岸、済州島。世界・・・・
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