男鹿半島沖のサバをマリネにする
脂のない痩せたサバのいちばんおいしい食べ方は生だ
痩せているからといって味がない、わけではない。
脂のとろっとした感じがないものの、むしろうま味が複雑で味わい深いと思う。
ここがサバの不思議なところだ。
しかも塩をして、冷凍して、といろんな工程を経ているのに、しっかり食感が残っている。
これは、釣り上げてすぐに締め、頭部と内臓をとったからだろう。
サバの豊かなうま味にシェリーの香りと、橙の酸っぱさがプラスされて、一品料理としてどこに出しても恥ずかしくないものとなった。
調和のとれすぎているところを、ケーパーと黒コショウが不協和音的な存在となり、意外に味に奥行きを出している。
魚料理は調和しすぎてはならぬ、という典型的な例だ。
この塩締め冷凍サバは、痩せたサバを食べる最高の手立てでもある。
塩は、うま味豊かなサバから、さらにうま味を引き出すため
近藤亮さん(第八松宝丸 秋田県男鹿市)に秋田県男鹿半島沖の魚を送っていただいた。
中にマサバかゴマサバか判然としないものが含まれていたが、どちらかというとマサバだとしておきたい。
非常に痩せていて脂がないものの、切り身にして焼いてみると味がある。
内臓をとったものととらないものがあって、取っていないものにはアニサキスがいた。今回は念のために三枚に下ろして振り塩をする。
1時間以上そのままにして水分を拭き取り、ラップして冷凍庫で24時間以上寝かせる。
これを解凍して、マリネした。
腹骨と血合い骨は取っているので、水分をよくきり、皮付きのままそぎ切りにする。
味見をすると、脂こそないものの非常にうま味がある。
このまま柑橘類を振って食べてももおいしいだろう。
今回は比較的薄く切りつけて、紫玉ねぎ、ケーパーを合わせ、甘口のシェリー少々・橙の青切りを合わせたもので和える。
仕上げにホーリーバジルを散らし、黒コショウを振る。
■第八松宝丸は秋田県男鹿市で、赤テリ(ウスメバル)、マダラなどの釣りを行っています。