202409/24掲載

忙しいときのフィッシュ&ティップス

たぶんイギリスでも、あっと言う間に作る気軽な料理


9月は細かい撮影が多かった。水の中に小さな生き物を沈めたまま食事という日が何度かあった。
そんなときは10分以内でご飯といきたいもの、なのだ。
だからフィッシュ&ティップスを作る。

存在を初めて知ったのは『暮らしの手帖』だったと思うが、実際に作ってみせてくれたのは友人の夫のイギリス人で、魚は冷凍のマダラだった。
作り方がものすごく雑で、重曹ではなく黒ビールという贅沢なものだったが、そのとき飲んでいたのが、黒だっただけ。
黒で作ると見た目が悪かった。
そのとき初めて見たビネガー(モルトビネガーだったと思う)を、じゃぶじゃぶかけたのも光景として残っている。

我が家のフィッシュ&ティップスは徹底的に時短で、ガリっと言うくらい表面を硬く揚げる。
イギリス人のネーティブなフィッシュ&ティップスはやけに雑な感じだったが、少しだけおしゃれでもある。

写真のハマフエフキとクサヤモロ(くさやに加工される)では、上品な味わいのハマフエフキがおいしかった。
表面はがりっとしており、中はとても豊潤で、ビネガーをかけると矢鱈においしい。

天ぷらに揚げるならクサヤモロ、フィッシュ&ティップスはハマフエフキ


クサヤモロは味が強く、うまいにはうまいが、じゃがいもと同レベルの穏やかな味わいではなく、個性がありすぎた。
ただし、クサヤモロは勝手に連れてきているのでただなので何度も作ったが、ハマフエフキは最近、値を上げているので、材料費は安くはない。
クサヤモロの方が普段着の味かも。

とにもかくにもフィッシュ&ティップスはそんなに真剣に味わうのではなく、立ったまま、恐ろしく素早く、腹の虫をなだめるものでしかない。

本来はじゃがいもと魚だけの料理、なのでいつでも作れる


ハマフエフキは鹿児島県産。
写真のクサヤモロは八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産、クマゴロウが銭州で釣り上げたものだ。
骨のない部分を適当に切る。
じゃがいもも適当に切る。
基本的にじゃがいもと魚だけだが、ハマフエフキのフィッシュ&ティップスにはモロッコインゲンを彩りに揚げた。
ともに塩コショウして、小麦粉をまぶしておく。
衣は小麦粉・水・重曹・サラダ油を硬めに練ったもの。脂が多いほど硬く揚がる。
これを同時に揚げる。
じゃがいもの質によってはジャガイモを先に挙げ始め、時差をつけて魚を揚げる。
イギリスではちょっとしたおやつのようなものなので、意外に雑に作るらしい。

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