アイブリ

Scientific Name / Seriolina nigrofasciata (Rüppell, 1829)

アイブリの形態写真

SL 53cm前後になる。体高は低く紡錘形でブリなどに近い。ぜんご(稜鱗)、小離鰭がない。第2背鰭に鰭膜があり、第1背鰭は黒もしくは濃い褐色。稚魚、若い個体には太い横縞がある。[SL53cm]
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SL 53cm前後になる。体高は低く紡錘形でブリなどに近い。ぜんご(稜鱗)、小離鰭がない。第2背鰭に鰭膜があり、第1背鰭は黒もしくは濃い褐色。稚魚、若い個体には太い横縞がある。[SL53cm]SL 53cm前後になる。体高は低く紡錘形でブリなどに近い。ぜんご(稜鱗)、小離鰭がない。第2背鰭に鰭膜があり、第1背鰭は黒もしくは濃い褐色。稚魚、若い個体には太い横縞がある。[SL28cm]SL 53cm前後になる。体高は低く紡錘形でブリなどに近い。ぜんご(稜鱗)、小離鰭がない。第2背鰭に鰭膜があり、第1背鰭は黒もしくは濃い褐色。稚魚、若い個体には太い横縞がある。[稚魚]
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上目硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目アジ科ブリモドキ亜科アイブリ属

    外国名

    学名

    Seriolina nigrofasciata (Rüppell, 1829)

    漢字・学名由来

    漢字 合鰤 Aiburi
    由来・語源 神奈川県江ノ島での呼び名。鰤(ブリ)に似て、鰤(ブリ)ではない。中間的なもの。
    〈アヂ科ブリ亜科アイブリ属 アイブリ〉。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
    〈ネッタイブリ〉。『中部西南 太平洋有用有毒魚類図鑑』(原色原図提供/日本水産 檜山義夫・安田富士郎著 講談社 1972)
    〈シマブリ〉。『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929)
    Rüppell
    Wilhelm Peter Eduard Simon Rüppell (エドゥアルド・リュッペル 1794-1884)。ドイツ。博物学者。

    地方名・市場名

    シオノオバサン シホノオバサン バカ
    場所和歌山県田辺 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    ヤファレーガーラ
    場所沖縄県南城市知念知念漁協 参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 
    アイブリ
    場所神奈川県江ノ島 参考文献 
    ソージ
    場所鹿児島県種子島 参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 
    ブリモドキ
    場所徳島県阿南市椿泊『椿泊漁業協同組合』 
    モウオ
    場所鹿児島県南さつま市笠沙 
    ハマチ
    場所高知 参考文献 

    生息域

    海水魚。大陸棚上の沖合の岩礁域。
    新潟県、能登半島、兵庫県浜坂、山口県日本海沿岸、茨城県〜九州南岸の大平洋沿岸、沖縄等、東シナ海の大陸棚域。
    朝鮮半島南岸、済州島、台湾、中国東シナ海・南シナ海、海南島、インド-西太平洋。

    生態

    基本情報

    定置網などに紛れ込むもの。珍しいものではないが、1匹、ないし数匹しか一度にとれないので、商品価値は低い。ただサワラやマナガツオに近い白身で嫌みがなく美味。
    産地などだけでなく、もっと広く認知されてもいい魚だと思っている。ちなみに産地や流通上で見つけたらお宝だと思え。

    水産基本情報

    市場での評価 希に入荷する。安い。
    漁法 定置網
    産地

    選び方

    大きい方が味がいい。体側の模様がくっきりしたもの。目が澄んで鰓が赤いもの。

    味わい

    旬は秋から冬。
    鱗は細かく取りやすい。皮は普通でやや強い。骨はあまり硬くはない。
    透明感のある白身だが、すぐに白濁する。熱を通しても硬く締まらない。
    あらなどからいいだしが出る。
    料理法を選ばない魚のひとつ。
    アイブリの切り身 皮は普通の厚みで、強い。血合いは比較的弱く、脂は身に混在して白濁している。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    アイブリの料理法/焼く(西京漬け、祐庵焼き、塩焼き)、ソテー(ムニエル、フライパン照り焼き)、煮る(煮つけ、鍋)、生食(刺身)、揚げる(フライ)、汁(潮汁)

    アイブリの西京漬け(みそ漬け) 水洗いして三枚に下ろす。切り身にして振り塩をして少し置き、表面の水分を拭き取る。これを西京みそ(白みそ)・みりん・少量の酒・砂糖を合わせた地につけ込む。白みそがなければ、みそはなんでもいい。みそによっては最初の振り塩が不要のものもある。マナガツオとサワラの中間的な味わい。マナガツオと比べると少しだけ繊維が強い。みそ漬けにしてここまでうまいのかという驚きを感じた。

    アイブリの祐庵焼き(幽庵焼き) 三枚に下ろし切り身にして、水分をよく切る。ここで振り塩をして少し置いてにじみ出た水分を拭き取る、という工程はやってもやらなくてもいい。これをしょうゆ・みりん・酒同割りの地につけ込んで焼き上げる。適度に身が締まり、本来のうまさにしょうゆなどのうま味が加わってとても味わい深い。

    アイブリの塩焼き 焼いてみるとメダイに近い気がする。ただし味わいはより深い。これはアジ科のうま味があるためかも。小振りのものは筒切りに、大きなものは切り身にする。振り塩をして1時間以上寝かせて、じっくり焼き上げる。皮目に香りがあり、身に甘みがあって、適度に繊維質で口にいれてほぐれる感じもいい。

    アイブリのフライパン照り焼き 切り身にして水分をよく拭き取る。小麦粉をまぶして多めの油で表面に焦げ目がつくくらいにソテーする。火が通ったら取り出して置く。フライパンにみりん・酒・少量の砂糖、八角一かけ(なくてもいい)を入れて煮つめる。これを皿に盛った身にかけ回す。最上級のご飯のおかずになる。御弁当のおかずにもぴったりだ。

    アイブリのムニエル アイブリは三枚に下ろして血合い骨を抜く。皮を引き適当に切る。塩コショウして、少し置き、表面に出て来た水分を拭き取り、多めの油でソテーする。仕上げに余分な油を捨てて、バターで風味づけする。身の繊維が細くて緻密。その割りに強く縮むことなく柔らかいのがいい。ほどよい身のうまさで、非常においしい。

    アイブリの兜煮(煮つけ) 大型のアイブリの兜を梨子割りにする。これを湯通しして、氷水(冷水)に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよく拭き取り、酒・砂糖・しょうゆ味で煮る。砂糖、みりんを使うとご飯のおかずにいい。煮ることで適度にしまり、身自体の甘みとしょうゆや酒のうま味が相まって絶品きわまりなし。最後には必ず骨湯(医者殺し)に。

    アイブリの寄せ鍋 水たきアイブリのちり鍋 水洗いして、小振りのものはぶつ切りに、大型のものはあらを使ってもいい。一度湯通し、冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、昆布だしで煮ながら食べる。野菜、豆腐などはお好みで。ポン酢で食べてもしょうが・しょうゆで食べてもいい。寒い時期など最高である。

    アイブリの胃袋の炒り煮 胃袋は開いてていねいに洗い、一度軽く湯がく。これを冷水に落として徹底的にぬめりや残った異物を取り去る。水分をよく切り、適宜に切って置く。鍋にみりん・酒・少量の砂糖・しょうゆを煮立てて、胃袋を入れてささーっとからめるように煮つける。独特の食感が楽しめ、噛めば噛むほどうま味が染み出してくる。

    アイブリの刺身 見た目はサワラかマナガツオに似ている。血合いが薄く、脂が身に混在して白濁している。酸味がすくなく、まったりした味わいだが、アジ科らしいうま味も感じられる。イヤミがなく、上々の味わいだ。ただの濃い口しょうゆよりも刺身たまりの方が合いそう。
    アイブリのフライ 白身で脂が中に混在していて、熱を通すと液状になってそのままとどまる。フライにすると表面の香ばしさと対照的な食感である。白身魚でもっともフライに向いているかも、非常においしい。
    アイブリの唐揚げ 小振りのものはぶつ切りに、大きなものは適当に切る。水分をよくきり、片栗粉をまぶしてじっくり二度揚げする。表面が香ばしいのは当然だが、中がしっとりして豊潤なのが実にいい。揚げたてを塩コショウしたものだが、ヒバーツやチリパウダーなどを使ってもいい。

    アイブリの潮汁 あらを集めておく。これを湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、昆布だし(水でも)で煮だして酒・塩で味つけする。肝や胃袋なども加えて煮ている。思った以上に濃厚なうま味が感じられておいしい。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)
  • 主食材として「アイブリ」を使用したレシピ一覧

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