オオアカムツ
オオアカムツの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
1.2m SL 前後になる。ハチジョウアカムツに非常に似ているが、尾鰭上葉の先端が黒い。[38cm SL・1.362kg] 1.2m SL 前後になる。ハチジョウアカムツに非常に似ているが、尾鰭上葉の先端が黒い。[43cm SL・1.714kg] 鰓蓋骨の後端の棘がひとつで鈍い。鰓蓋骨のすぐ後ろの白い鱗の形は後縁が直線的。
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珍魚度・珍しさ | ★★★ がんばって探せば手に入る |
魚貝の物知り度 |
★★★★★ 知っていたら学者級 |
食べ物としての重要度 |
★★ 地域的、嗜好品的なもの |
味の評価度 |
★★★★★ 究極の美味 |
分類 |
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目フエダイ科ハマダイ属
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外国名 |
ー
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学名 |
Etelis boweni Andrews, Fernandez-Silva, Randall and Ho, 2021
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漢字・学名由来 |
漢字/大赤鯥 Standard Japanese name / Ooakamutu
由来・語源/ハチジョウアカムツにとてもよく似ているが、2m以上になるため。研究者のジョン・ビョルさんや大富潤さん、本村浩之さんなど鹿児島大学の研究チームによっての命名だと思う。2023年3月8日。 |
地方名・市場名 |
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概要
生息域
海水魚。水深150-200m。
鹿児島大隅諸島県屋久島・種子島、琉球列島。
台湾台南、インド洋、紅海、西太平洋、オーストラリア。
生態
基本情報
2021年に新種として記載されていたもの。熱帯域などでは知られていたが、国内海域では鹿児島県島嶼部でしか見つかっていない。ただ、非常にハチジョウアカムツに似ているので、混同されてしまっている可能性が強い。屋久島の漁業者は両種ともキンギョと呼んで区別しない。
鹿児島市の市場関係者などの一部には、超高級魚であるハチジョウアカムツ以上に脂が乗っていておいしいため、狙って買い受けるというプロも少なくない。実際、ハチジョウアカムツとの市場での水揚げ状況が違っている。
2020年くらいから鹿児島魚市場の水揚げ画像を見ていても、ハチジョウアカムツはある程度まとまり、並んで映っているのに対し、本種らしい画像は1尾、もしくは2尾でしかない。写真は2022年に気になって買い求めて別立てで画像を保存して置いたものだ。ある意味、新しい高級魚の登場である。
珍魚度 ハチジョウアカムツと酷似している。ハチジョウアカムツは探せば手に入るが、本種は区別できる人が非常に少ないために、入手が難しい。
水産基本情報
市場での評価/流通上鹿児島市でしか見ていない。ただしハチジョウアカムツと混同されて流通した可能性がある。
漁法/釣り
産地/鹿児島県
選び方・食べ方・その他
選び方
味わい
旬は不明だが、ハチジョウアカムツと同じように年間を通して味が落ちない。あえていえば晩春から初夏だと思われる。
鱗は硬いが取りやすい。皮は厚みがあって強い。骨はあまり硬くない。
血合いの赤い白身で熱を通しても硬く締まらない。
栄養
危険性など
食べ方・料理法・作り方
オオアカムツの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、皮霜造り)、蒸す(蒸し魚)、ソテー(ポワレ)、煮る(煮つけ)、焼く(グリエ、塩焼き)、揚げる(唐揚げ、フィッシュ&ティップス)
オオアカムツの刺身 旬がわからない。たぶんハチジョウアカムツと同じ時季だとすると写真の個体は初冬のものなので、旬ハズレだと思っている。それでもきめ細やかな身質で筋がなく、ほどよく脂がのっている。うま味が豊かでもある。刺身としては最上級だ。鹿児島市でハチジョウアカムツ以上の評価だというのがわかる味である。
オオアカムツの焼霜造り 皮に味があるものの厚みがあり、とても硬い。大型で、腹側は湯をかけただけでは硬くて食べられない。これをあぶって切りつけてみた。三枚に下ろして腹側の皮を強めにあぶる。氷水に落として粗熱を取り、水分をきる。これを刺身状に切る。皮と皮直下に豊かなうま味がある。皮の食感も心地よい。
オオアカムツの皮霜造り 水洗いして3枚に下ろして腹骨・血合い骨を取る。皮に湯をかけて氷水に落として水分をよくきる。これを刺身状に切る。皮はやや固めではあるが噛めば噛むほど味がある。小型で背の部分なら皮下に脂の層があり、身自体にも味があり美味。
オオアカムツの清蒸(蒸し魚) 水洗いして頭部(兜)を梨子割りにする。頭部の鱗はできるかぎりていねいに取る。水分をていねいに拭き取り、皿にネギなどを橋渡しにして置き、その上に兜を乗せて15分程度蒸す。蒸し上がったら香りのあるネギなどをのせてタレ(醤油・魚醬少々・紹興酒・砂糖を煮立てたもの)をかけ、煙が出るくらいに熱した油をかける。
蒸した身は練り絹のように滑らかでほどよく繊維質。皮と身をほぐしタレ、ねぎを合わせて食べると、無類のうまさである。
オオアカムツの兜煮(煮つけ) 水洗いして頭部(兜)を梨子割りにする。湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、酒・砂糖・醤油・水を沸騰させた中で煮る。濃い目の味つけで煮染まらない程度に煮るのがコツ。頭部目の周りの皮が非常にうまい。身の甘さと相まって文字に出来ない味だ。
オオアカムツのポワレ 切り身にして塩コショウを振る。皮目からじっくり時間をかけてソテーした。皮目だけで日を通すと言った感じである。皮は香ばしくさくっとしており、身は豊潤で柔らかい。この対照的な感じがいい。もっとも単純な料理法だが、本種の味をもっとも端的に引き出している。
オオアカムツのグリエ 切り身にして塩コショウ、水分をよくきってじっくりと焼き上げたもの。焼き上がりにエキストラバージンオイルとにんにくを振りかけている。焼き上がった身にオリーブオイルを合わせながら食べる。やや淡泊な味わいにオイルがとてもよく合う。
オオアカムツの塩焼き 水洗いして二枚に下ろす。骨つきの方を切り身にして振り塩をする。1時間程度寝かせてじっくりと焼き上げる。身から染み出た脂で皮目が揚げたように香ばしくなる。身はほどよく繊維質で身離れがよくとても味わい深い。
フィッシュ&ティップス 大型魚で歩留まりがいいので、尾に近い部分の身を揚げ物にしてみた。皮を引き塩コショウする。小麦粉をまぶし、小麦粉・オリーブオイル・重曹少し・水の衣をつけて揚げる。オイルを少し多目にして香ばしさを強くしてみた。じゃがいもと一緒に食べると食事として成立する。
オオアカムツの唐揚げ 水洗いして刺身や塩焼きにしたときに出た腹骨まわり、尾に近い部分などを集めて置く。水分をよくきり、片栗粉をまぶしてじっくりと二度揚げにする。鰭や小骨が香ばしく、皮はねっとりしてうま味がある。
好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
釣り情報
歴史・ことわざなど