202407/14掲載

新しい魚、オオアカムツの勉強中

どこからどこまでもハチジョウアカムツそっくり


同じ漁港の水揚げを長年見ていると、ときどき気になる、何か? を感じることがある。そのときには、それほどたいしたことだとは思っていないが、後々、ちゃんと、その何か? が分類学的(ほかの分野であることも)に証明されることがあるからバカに出来ない。
ボクの疑問は鹿児島県鹿児島市、鹿児島魚市場にハチジョウアカムツが並んでいるときに感じたものだ。ハチジョウアカムツはまとまって揚がるので、ずらりと並べられていることが多い。
そんなハチジョウアカムツと思える何か? が希に2、3個体だけ並ぶことがある。
4年ほど前に、気になったのでその2個体の片割れを、清水の舞台から飛び降りるつもりだ買ってみた。ハチジョウアカムツは今や非常に高価なので、競ってもらうためには覚悟がいる。
屋久島近海のもので、到着したものを徹底的に計測して、撮影し、我がデータベースの手堅い相談役、和田英俊さんを始め何人かに見てもらった。結果、現状では和名無しの国内新発見(あくまでも魚類学的に)の魚ということがわかる。これが後にオオアカムツと命名される魚である。
意外に門外漢の感も捨てたものではないと思ったものだが、鹿児島の多くの市場人が気づいていたことがわかってきた。
しかも鹿児島大学でいちばん市場に詳しい、大富潤さんが論文に参加しているのである。みな考えることは同じなのだ。
念のために今回、国内海域での確認の論文には、ジョン・ビョルさん、大富潤さん、本村浩之さんの3人の著者がいる。第一著者はジョン・ビョルさんだろう。一度会ってみたいものである。
今回が2個体目。
前回気がつかなかった細部も調べて撮影する。頭部近くの鱗の形や鰓蓋(鰓蓋骨)の後縁の形などだが、明らかにハチジョウアカムツとは違っている。
ちなみに小笠原諸島のハチジョウアカムツは、東京都内ではあたりまえの魚で、入荷するたびにチェックしているが、まだオオアカムツだと思える個体には出合っていない。

味もそっくりで、食べたときの感激も同じようにデカイ


まあここからが本番、食べてみなければ始まらない。
まずは刺身と腹部分は焼き切りにする。
刺身は非常にきめ細やかな身質で、豊かな甘味とうま味がある。

焼き切りのうまさは今回の新発見!


そして今回、焼き切り(焼霜造り)のうまさにビックリした。
皮に厚みがあり。豊かなうま味がある。
やはりオオアカムツは大枚はたいて買っても後悔しない魚である。
鹿児島市の久保和博さんに感謝致します。

このコラムに関係する種

オオアカムツのサムネイル写真
オオアカムツ海水魚。水深150-200m。鹿児島大隅諸島県屋久島・種子島、琉球列島。台湾台南、インド洋、紅海、西太平洋、オースト・・・・
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