通やこだわりのある人の話は1億分の1だけ聞け
アンチ食通、あんちこだわりのボクは今日もボク流の料理を作る
〈お母さんは、子供にどんどん自己流のヘンなものを食べさせるべきだと、私は思う。〉『木皿食堂』(木皿泉 二葉文庫)が、好きで、この部分だけなんども読み直している。
すごいな、とか、いい言葉だな、とかではなく、本当にそうだと思っているためだ。食通とかこだわりのある人は、ボクには異星人に思える。たぶん冥王星よりも遠い星の人、M78星雲のもっと遙か彼方の人かも知れない。
別にいたとしても気にしなくていいと思うけど、そんな異星人に惑わされず、自分自身に立ち返れといいたい。自分自身が本当に好きなもののこと、本当に知っているんだろうか?
だいたいボクの嗜好、好みはコロコロコロとローリングストーンなのだ。ぜんぜん一定の好みというか“好き”がない。辛いのが好きなときがあったが、今現在はちょっとだけ辛いくらいがいいし、煮つけは去年まではあっさり味つけていたのに、今年はこてっこってなのである。みりんと砂糖を両方使うと、たとえばみりんを2倍入れるよりも甘くなるので両方使いしている。
去年のボクが食べたら、甘過ぎらいバカヤロウ! と思うくらいに甘い。
最近、魚屋に言わせると、煮つけを敬遠してカレイが売れないそうだ。お客に聞くと上手に作れない、と答えが返ってくるという。
バカ言ってんじゃネー。それでいいのだ。煮つけは失敗してこそ上手になる。上手にならなくても失敗は人生の糧になる。
食べられないくらいまずい魚の煮つけを作れる人は、逆に考えると料理の天才ではないだろうか。
木皿泉ではないが、ヘンな料理の方が心に残る。
心に残る料理を作ろうぜ。
こんにゃくのみそ甘辛ごま炒め
こんにゃくを炒め煮にするときは鉄鍋の方がいいのだけれど、この日はずーっとフッ素加工の深鍋を使ってきたので、これで作る。
いちいち鍋を買えるなんてナンセンス、だ。
熱くなった鍋にこんにゃくをちぎり入れる。
こんにゃくが悲鳴を上げるけど、鉄鍋ほど大きな声では泣かない。