202408/29掲載

通やこだわりのある人の話は1億分の1だけ聞け

アンチ食通、あんちこだわりのボクは今日もボク流の料理を作る


〈お母さんは、子供にどんどん自己流のヘンなものを食べさせるべきだと、私は思う。〉『木皿食堂』(木皿泉 二葉文庫)が、好きで、この部分だけなんども読み直している。
すごいな、とか、いい言葉だな、とかではなく、本当にそうだと思っているためだ。食通とかこだわりのある人は、ボクには異星人に思える。たぶん冥王星よりも遠い星の人、M78星雲のもっと遙か彼方の人かも知れない。
別にいたとしても気にしなくていいと思うけど、そんな異星人に惑わされず、自分自身に立ち返れといいたい。自分自身が本当に好きなもののこと、本当に知っているんだろうか?
だいたいボクの嗜好、好みはコロコロコロとローリングストーンなのだ。ぜんぜん一定の好みというか“好き”がない。辛いのが好きなときがあったが、今現在はちょっとだけ辛いくらいがいいし、煮つけは去年まではあっさり味つけていたのに、今年はこてっこってなのである。みりんと砂糖を両方使うと、たとえばみりんを2倍入れるよりも甘くなるので両方使いしている。
去年のボクが食べたら、甘過ぎらいバカヤロウ! と思うくらいに甘い。
最近、魚屋に言わせると、煮つけを敬遠してカレイが売れないそうだ。お客に聞くと上手に作れない、と答えが返ってくるという。
バカ言ってんじゃネー。それでいいのだ。煮つけは失敗してこそ上手になる。上手にならなくても失敗は人生の糧になる。
食べられないくらいまずい魚の煮つけを作れる人は、逆に考えると料理の天才ではないだろうか。
木皿泉ではないが、ヘンな料理の方が心に残る。
心に残る料理を作ろうぜ。

こんにゃくのみそ甘辛ごま炒め


こんにゃくを炒め煮にするときは鉄鍋の方がいいのだけれど、この日はずーっとフッ素加工の深鍋を使ってきたので、これで作る。
いちいち鍋を買えるなんてナンセンス、だ。
熱くなった鍋にこんにゃくをちぎり入れる。
こんにゃくが悲鳴を上げるけど、鉄鍋ほど大きな声では泣かない。

どんどんこってこってにして行く


ごま油少量を加えてこんにゃくに馴染ませる。
火をとめてみりん・砂糖・みそを投入する。
再度火をつけて中火でねっとねっとするくらいに調味料だけで炒め煮する。

とどめはごま。本当の主役がここに登場したのだ


こんにゃくがぬかるんできたら、青唐辛子少量を投入して、仕上げにごまを大量に振りかける。
なんて書いたが、味は千回作って千違っている。


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