202405/21掲載

ヨリトフグの煮凝りで飯の食いすぎ

どこにも取り立てて特徴のないフグなのである


静岡県熱海市、網代漁業、網代魚市場で分けていただいた魚の中に大きな「水フグ(ヨリトフグ)」が混ざっていた。大好きな魚で、こいつだけはどうしても食べたかったために分けていただいた。
とは以前にも書いた。
さて、湯引きと同じようなものだけど煮つけにしても絶品である。
ついでに言うと、煮つけよりも冷やして煮凝りにしたほうがうまい。
煮つけ=煮凝り、と思っても差し支えない。
本種は無毒である。ただし原則的にフグ科の肝臓、卵巣は食用不可なので、ここでは素直に皮と筋肉だけを使う。

煮凝りは見た目からしてうまそうで、食べると本当にうまい


水洗いして鱗がないので適当にぶつ切りにする。
食べ安い大きさに切り、湯通しして冷水に落とし表面のぬめりを流す。
水分をよくきり、酒・みりん・醤油・水、しょうがと一緒に鍋に入れて煮つける。
水は多めに。
煮つけは煮つけとして食べ、冷めたら煮汁から身・皮を取り出し、骨を除き、身と皮を細かく手でほぐす。
これと煮汁を四角い容器に入れ、適当にかき混ぜて冷蔵庫で冷やす。
これで出来上がりである。

ご飯の上でゆっくりと溶けていく


このまま食べてもいいし、燗酒に合うので肴にしてもいい。
ただ、なんといっても飯との相性がよすぎるのである。
熱々のご飯にのせると、接触した部分から溶け始める。
この溶け始めたときがボクの食べ時。
うま味豊かなゼラチン質が口の中で溶け始めるときの、悩ましいほどの喜びは食べてもらわないとわからない。
たぶんヨリトフグの煮凝りは、煮凝り界のトップスターである。
未利用にしたらもったいないぞ、と繰り返し言いたい。
林さんをはじめ、網代漁業のみなさんに感謝。

このコラムに関係する種

ヨリトフグのサムネイル写真
ヨリトフグBlunthead puffer 南日本。水深480mまで。伊豆諸島、小笠原諸島、房総半島〜豊後水道の太平洋沿岸、東シナ海大陸棚縁辺・斜面。少ない/津・・・・
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