ヨリトフグ
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体長40cm前後になる。体に棘がない。体に細い筋が走る。[ふくらんだ状態] 体長40cm前後になる。体に棘がない。体に細い筋が走る。[縮んだ状態]
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珍魚度・珍しさ | ★★★ がんばって探せば手に入る |
魚貝の物知り度 |
★★★★ 知っていたら達人級 |
食べ物としての重要度 |
★★ 地域的、嗜好品的なもの |
味の評価度 |
★★★★ 非常に美味 |
分類 |
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系フグ目フグ科ヨリトフグ属
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外国名 |
Blunthead puffer
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学名 |
Sphoeroides pachygaster (Müller and Troschel, 1848)
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漢字・学名由来 |
漢字/縒糸河豚 Yoritofugu
由来・語源/『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)ではカハフグ(カワフグ)であった。『原色日本魚類図鑑』(蒲原稔治 1955年初版 1975年改訂22刷)でヨリトフグ(カワフグ)になる。カハフグもヨリトフグも言語の使われていた場所、提唱者はわからない。どちらも田中茂穂以前からの和名ではないかと推測する。
縒糸 個人的な考えだが「よりと」は「糸を縒る」フグなのではないか? なぜならば、このフグを釣り上げると急速に海水を飲み込みまん丸く膨らむ。すると釣り糸が縒れてしまうのだ。これには釣り人、漁師なども困る。
よれよれ また「よれよれ」とは副詞であるが、釣って提灯のようにふくらんだものが、水を吐き出すと、惨めにしぼむ。これを「よれよれになった」としたのかも。
体表の模様 撚(縒)った糸のような細い筋(皺)が体にあるためか? チョウチンフグ(チョーチンフグ 提灯河豚) 愛知県一色での呼び名だが、まことに言い得て妙。尾を上にして見ると丸形提灯そっくりだ。 |
地方名・市場名 |
カワフグ[皮河豚] 場所別名 チョウチンフグ[提灯河豚] 参考文献 場所愛知県蒲郡市三谷 ミズフグ[水河豚] 備考水分の多い魚であるために「水河豚」という人と、釣り上げると大量の海水をすってバスケットボールのように膨らみ、船に上げると大量の水(海水)を吐き出すため、という人がいる。 参考聞取 場所静岡県伊豆周辺・下田・沼津 デデフグ 参考文献 場所神奈川県小田原 |
概要
生息域
南日本。水深480mまで。
伊豆諸島、小笠原諸島、房総半島〜豊後水道の太平洋沿岸、東シナ海大陸棚縁辺・斜面。
少ない/津軽海峡〜九州北岸の日本海沿岸、津軽海峡〜福島県の太平洋沿岸、九州南岸〜琉球列島。
希にピーター大帝湾、朝鮮半島東岸・南岸、済州島、中国東シナ海沿岸、台湾、世界中の温帯・熱帯域。
生態
基本情報
関東では伊豆や伊豆諸島に多い。国内の主に太平洋側にいて主に延縄や底曳き網などであがる
水分が多いなどで嫌われているが、実は非常にうまい魚である。
伊豆半島などでは肝もふくめて丸ごとぶつ切りにして、みそ汁にして食べるがこれも美味であった。
ただ残念なことに現在、肝は食用不可だ。中毒例があるとは思えず、フグ類の肝すべてを食用不可とする厚生労働省のやり方は不思議でならない。
肝がなくても皮に味があるので、液体を使った料理に最適。
珍魚度 珍しい魚ではないが、流通しない。自分で釣り上げるか、探すしかない。
水産基本情報
市場での評価/希に関東でも見られる。非常に安い。
漁法/延縄、底曳き網
産地/三重県など
選び方・食べ方・その他
選び方
味わい
毒性/精巣=無毒、皮=無毒、筋肉=無毒
旬は寒い時季。
鱗はなく皮は分厚く、熱を通すとゼリー状にブルンとする。骨は軟らかい。
透明感のある白身だが濁りやすい。熱を通すと軟らかく煮崩れやすくなる。
料理の方向性
フグと言うよりもアンコウ類などに近いと考えると分かりやすい。身よりも皮がうまい。近年肝を食せなくなったのは残念だが皮ごとぶつ切りにして汁、鍋、煮ものなど液体を使った料理にするとキアンコウよりもうまいくらいだ。筋肉は水分が多いので干してから唐揚げや焼き物にするといい。
フグの調理は一般人は原則的に行なわないこと。調理するときには自己責任で
栄養
危険性など
食べ方・料理法・作り方
ヨリトフグの料理法・レシピ・食べ方/生食(湯引き)、煮る(煮つけ、皮は煮凝りになる、鍋)、汁(ちり、みそ汁、潮汁)、焼く(一夜干し)、揚げる(唐揚げ)
ヨリトフグの湯引き いちばんおいしいのは皮だと思う。三枚に下ろして食べやすい大きさに切る。水分をよくきり、塩水の中でさっと湯引く。熱の通し加減はお好みで。氷水にとり、粗熱とぬめりをこそげ落とす。水分をよくきり、酢みそかわさび醤油、しょうが醤油、コチュジャン酢などで食べる。皮の独特の食感、うま味、身の上品で淡泊であることなど箸がついつい伸びてしまう味わいだ。
ヨリトフグの煮つけ 鰓、腸管、卵巣などを除き、適宜に切る。軽く湯通しして冷水に落としてぬめりや血液などを流す。これを酒・しょうゆ、水で煮る。砂糖やみりんで甘味をつけてもいい。身はふっくらと柔らかく、皮はぷるんとゼラチン質である。身よりも皮の方がうまい。
ヨリトフグの煮凝り 煮つけをそのまま冷やしただけでも、よい煮凝りができる。ただしそれ以上にうまいのが皮の煮凝りだ。皮を湯通しして冷水に落としてから細かく切る。これを酒、みりん、しょうゆ、水で煮る。冷めたら流し缶にでも入れて冷やす。今回は香りづけに柚子の皮を使った。非常に強く煮こごるので水は多めにするのがコツ。
ヨリトフグの韓国風鍋 水洗いして皮付きのまま適当に切る。湯通しして冷水に落としてぬめりをていねいに流す。これを塩味の煮干しだしで煮ながら食べる。軽く火を通したものもうまいが、じっくり柔らかくなるまで煮たものの方がうまい。唐辛子はお好みで。ポン酢、生醤油など食べ方もお好みで。
ヨリトフグのちり鍋 内臓と鰓を取る。皮付きのままぶつ切りにする。これを一度湯通しして冷水に落とす。ぬめりなどを取り、水分をよくきっておく。これを昆布だしで煮ながら食べる。味つけは酒と塩のみ。皮に甘味とうま味があり、ぶるんとした食感が心地よい。非常に美味である。
ヨリトフグの皮の吸もの 皮は湯通しして、冷水に落としてぬめりを取る。よく水分をきってから細かく切る。これを昆布だしで煮て、酒、塩で味つけする。しょうゆを加えてもいいし、カツオ節だしを使ってもうまい。
ヨリトフグのみそ汁 鰓、腸管、肝、卵巣を取り除き、適宜に切る。これをあくをすくいながら煮て、みそを溶く。一度湯通しすると汁がきれいにあがる。非常にうま味豊かな汁になり、皮が身以上においしい。
ヨリトフグの一夜干し 皮付きのまま開き、内臓を取り去る。水分をよくきり、立て塩にする。これを二昼夜かけて強めに干し上げる。場合によってはもっと干してもいい。焼き上げると皮が香ばしく、身は柔らかく弾力がある。とてもおいしい。
ヨリトフグの唐揚げ ヨリトフグは内臓と皮を取り去り、筋肉だけにしてペーパータオルでくるんで水分を抜く。これを適宜に切り、片栗粉をまぶしてじっくりと揚げる。水分が多い分、さくっとした食感に揚がってとても味がいい。
好んで食べる地域・名物料理
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みそ汁 伊豆半島や三重県などでは肝なども含めぶつ切りにしたものを使った汁を食べている。これは産地で普通に行われているのだが、厚生省の通達には肝、卵巣に関する毒性が明記されていないまま食用不可となっている。沖縄などでは肝に毒をもつものがあるというが、地域差など、一般に出回ることも少ない魚ではあるが、できたら毒性をしっかり調べてもらいたい。
フグの調理は一般人は原則的に行なわないこと。調理するときには自己責任で 加工品・名産品
釣り情報
主に中深場のカサゴなどをねらう身餌の中深場釣りの外道。伊豆などでは「水ふぐ」と呼ばれるが、釣りなどで引き上げるとき、水を吸い込んで体をぽんぽんに膨らませて、物凄く重い。水を吐き出させれば、パンクしたバスケットボールのようになる。
歴史・ことわざなど