202405/19掲載

『魚善』さんに教わった塩マグロを作る

こんなにいいものをもらっていいのか、本マグロ


八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産で魚を買っていたら、ボクの発泡に買っていないものが入っていた。
「?」。 クマゴロウの妻に聞くと、「アレだそうです……」。
そうだ、アレだ。
お願いしたら、ちゃんとやってくれるところが、クマゴロウのすごいところである。このところ銭州で大釣りしているのも、日頃の行いがいいからだ。
頼んでいたのは、売り物にならないマグロである。
ただしよく見ると、今回の本マの切り身はそんなに悪くない。
問題は少しだけ血合いがかぶっているくらいか。血合いぎしで売れそうでもある。
ときは4月の始めに遡る。
八王子の魚屋をかたっぱしからつかまえては、塩カツオのことを聞取していたのだ。
中に西八王子の善さん(魚善)がいる。
「カツオは作らないけどマグロで作るな」
というのだ。
以前、メジマグロ(クロマグロの若魚)で塩ガツオ的なものを作っているが、今回の場合は、魚屋がコロ(大物のマグロを三枚に下ろし、数等分した塊。ただし今現在、魚屋がコロを買うことはなくなりつつある)を買い、その切りつけた余りを使ったものである。
だからマグロ屋でもある舵丸水産に問題ありのマグロを頼んでいたのだ。
さて、ありがたく頂いて、少し成形する。
切り落としたところは佃煮にする。
これなど、誰が食べてもおいしいやろう! 的な味である。

材料は塩とマグロの切り身だけ


さて、切り身に大量の塩をまぶす。
どんどん塩を加えて、塩の中に埋める。

根気よく数時間置きにひっくり返す


水が出てくるが、そのまま数時間ごとにひっくり返す。
これを3日ほど繰り返す。

黒ずんでいて、とてもうまそうには思えない


4日目朝に水洗いして水分をよく切り、ビニールに密閉して1週間ほど寝かせる。
出来上がったものは黒ずんでいてとてもうまそうには思えない。

塩が吹き出すほど塩辛いのに味わい深い


切りつけて焼いてみたら、見た目に反してすごくうまいである。
うまいという表現はありきたりだが、うま味の量が多いというか、味に深みがあるのだ。
非常に塩分濃度が強いはずなのに味があるのでおやつとして食べられる。
お茶に著しく合う。

塩マグロの茶漬けほどうまいものはない


塩のとりすぎになるので、これで飯を食い。
時間をずらして茶漬けにする。
桑名の殿様じゃなくても塩マグロでちゃちゃ茶漬けやも知れん。
これなどまさに魚屋にしか考えつかない加工食品そのものである。
善さんにお礼を言わなくちゃ。

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クロマグロのサムネイル写真
クロマグロPacific bluefin tuna海水魚。外洋表層域。日本近海。朝鮮半島南岸・東岸、サハリン、千島列島南部のオホーツク海、アラスカ湾、北緯5-40度の・・・・
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