ちょっとアニキなトリガイと相馬せりでぬた作り
貝殻つきのままゆでてしまう
トリガイの画像が足りないと思っていたら、八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産に殻トリ(貝殻つきで生きている状態)があった。
値段を聞くと、ちょっとアニキ(すし屋用語で市場でも使う。数日前に仕入れたもの)らしく非常に安かった。信頼のおける仲買とのやりとりは、市場ではとても重要なことなのだ。
ちなみに「水産物は鮮度が命」なんてほざく愚かな人間がいるととても助かる。このヤカラ達のお陰で、ちょっと古いくらいの水産物がすぐに安くなるからだ。売れ残った水産物にも意味があるし、実は料理法によっては古くても大丈夫というものがいっぱいあるのだよ。
ボクなど古くなるのを待っていたりする。
【話の寄り道。もちろん東京とか消費地限定の話だが。高級料理店は勝手に高い料理を作ればいいし、高ければ高いほど喜ぶ客もいるだろう。でもボクが好きなのは、この鮮度的なものでも、魚の種類でも自由な考え方ができ、客の懐のことを考えてくれる料理人・料理店店主である。】
徹底的に貝殻の撮影をして、すぐにゆでる。
貝殻ごと多めの塩を入れ、ゆでると軟体がぷくぷく浮き上がってくる。
鮮度がいいとこんなに簡単には浮き上がらないけど、それでもトリガイはもっとも軟体部分を外しやすい二枚貝なのである。
外れた軟体を氷を入れた塩水に落とし、軟体(足)の中のわたを押し出す。
新たに氷を入れた塩水を作り、泥を完全に落とす。
元気のいいトリガイはここまではしなくていい。
水分をよくきり、食べやすい大きさに切る。
合わせる野菜は「相馬せり」だ。本場宮城県産に比べて知名度は低いがとても香り高く、味がいい。
これをゆでて冷水に落として水分をきり、食べやすい大きさに切っておく。
酢みそは、塩分強めだけどとても味のいい福島県南会津町、山内麹店「梁取みそ」・米酢・少量の砂糖。塩分の強いみそなので、基本的に酢とみそだけで味を作りあげ、砂糖はマイルドにする程度加えるだけ。
後はトリガイ、せり、酢みそを和えるだけ。