202404/15掲載

兵庫県明石浦漁協の桜鯛 1 兜焼き

塩焼きといえども元がよくないとダメなのだ


ちょっとだけ日記風に。
八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産に兵庫県明石市、明石浦漁業協同組合から明石鯛(マダイ)が来ていた。桜はまだちらほら残っているので、ぎりぎり桜鯛という言語を使ってもいいだろう。
目の下一尺、1.1kg の理想的な大きさのマダイである。ちなみにマダイはこの目の下一尺から一尺半くらいがいいと思っておりまする。
執念深い明石人(原はつきまへん)が飛ばしてきたタイなので、鮮度抜群やし、ちゃんと血抜きされてますので、これ以上望めない、といったものである。
瀬戸内海といえば産卵期に大漁が続く「魚島の鯛」だが、5月、6月に大量に揚がるタイはそれほどはうまくない。
「魚島の鯛」の手前まで文句なしにおいしくて、「魚島の鯛」になったら「これはこれで重宝します。おかずにします」と考えるべきである。
産卵間近、産卵後のマダイを猫またぎというアホな魚通がいるが、大間違い。これはこれで料理のやりかた次第で抜群にうまいと、わざわざつけ加えておきたい。
基本的に買った魚は計測して、撮影する。
タイ科の魚は下ろす難易度が極めて低いのでほんの数分でばらばら事件となる。
まっさきに作ったのが兜焼きである。
「兜焼きなんぞ、なんで作ってもおんなしですがな」と昔、大阪市にある、長い長い商店街の曾我廼家五郎八に、養殖もののマダイの兜をすすめられたが、兜の塩焼きほど、そのタイの素性がわかるものはない。兜焼きは上物のタイで作らなあきまへん。
ちなみにこの日、我が家にはおやつが枯渇していた。
お茶を飲んでもつまむものがない。
お菓子代わりの兜焼きでもある。

兜焼きは食べにくい、ところがいいのである


真半分に切った兜に振り塩をする。
この間にその日に買った魚の処理をする。
魚、貝などを大量に処理すると、生臭くなるのでシャワーを贅沢だけどあびる。
ちょうど1時間くらいたっているので、中火で焼き上げる。
我が家にはガス台のグリルしかないので、うまく焼くには、頻繁にグリル内を移動させないとダメだ。
焼き上がったら、1時間以上寝かせる。
兜焼きは焼きたてもうまいが、冷めると味わいがグングンと深まる。
ちなみに兜焼きには凍頂烏龍茶が合うと、ボクは思っている。
兜焼きとほうじ茶もいいし、健康な人は酒でもワインでも勝手にしなはれ、なのだ。
明石鯛兜焼きのすごいところは最後の最後、安物の真珠玉くらいの大きさの身にも味があることだろう。
最初から皮というゴールデンなものを食べたらいけないので、最初はカマ下とかをむしり食い、一仕事終わったら皮に噛みつく。
終い近くのまだまだ食うところがある、という時間帯もゴールデンかも知れぬ。

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マダイのサムネイル写真
マダイRed sea-bream海水魚。水深30メートル前後から200mの岩礁域、砂礫底、砂底。稚魚、幼魚はより浅場にいる。北海道全沿岸〜九州南岸の日・・・・
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