202403/19掲載

東京都大田市場関連棟で菓子パン

店名の神漬はなぜ、漬なのか? 聞いてみたい


市場の関連棟は楽しいという話をば。
市場に必ずあるものが関連棟である。もうかれこれ半世紀近く市場を歩いているが、鮮魚でも、青果の仲卸であっても、歩いているときは全身の神経を、並んでいるものに集中しているので非常に緊張している。がっちがっちになっているので、歩いた後の疲労感は生半ではない。
対して関連棟歩きのときはゆるゆるほんわかなのだ。
ちなみに豊洲市場でもそうだが、一般客でも関連棟なら買い物が出来ることを知って置くといいだろう。豊洲などどうみてもプロ以上に一般客向けに変化している気がする。初めての市場に行くと、必ず関連棟の場所をまず確かめておくといいだろう。
市場の関連棟は、あまりいい言い方ではないと思っているが、いまだに「昭和」である。マスコミなどでも昭和、昭和と騒がれているので、関連棟に紛れ込むことも立派に観光なのかも知れない。

この玉石混淆感が素晴らしいのだ


東京都大田区東海、大田市場の関連棟は昔よりも店が減っている気がするけど、それなりに昭和の雰囲気があるし、八百屋などスーパーではとても手に入らない上物が並んでいる。食堂もやたらにうまそうだし、懐かしい雰囲気を漂わせているので店選びが大変なのだ。
さて、そんな関連棟(豊洲などには場内にある)に市場人のために、不可欠の店がある。売店というか、弁当やお菓子を売る店である。
大田市場の関連棟に『神漬』という、不思議な名前の売店的な機能を持つ店がある。通り過ぎながら眺めた店先には菓子パンやら食パンにお菓子に飲み物、弁当にお握りなどが並んでいる。カップ麺や簡単な調味料もあるようだ。

ここでカップ麺を買い、お握りを買いでお昼にする人も多いだろう


店頭を見ただけで、思わず、わおーっ! と叫んでしまいそうになる。看板には「ヤマザキ」とあるが、ヤマザキ以外の会社のものもあるし、菓子などは市場流通したものがある。
近年、スーパーに売られているものは売れ線のものばかりで、ちょっと変なものは排除されているが、ここにはまだそれが残っている。
ここに立っていると後から後から、市場人がやってくる。話のきっかけが欲しくて、ちょっと挨拶程度につぶやくが忙しいのか無視される。
店の看板の赤色がちょっとくすんでいるのがやけにいいと思うし、中にいたオバチャンも親切そうでいいのである。

色に惹かれて買った西日本を思わせる菓子


このような店では長居は禁物である。愛知県一宮市、スイートファクトリーのチョコマーブルと、静岡県浜松市、三立製菓の「温州みかんパイ」を買う。
チョコマーブルは普通のどこにでもあるようなチョコ味のカステラだった。

今どきのよくできた菓子にはない素朴味


それよりも「温州みかんパイ」が面白かった。
三立製菓は子供の頃よくたべた三立パンを作っていたところだと思う。レモンイエローにミカン色というのが西日本的でいい。浜松市は西日本と東日本の中間だが、色は明らかに西日本的(東西で光の波長が違うので色のモードも違うのだ)である。
今回の「温州みかんパイ」は中身が少ないのが残念ではあるものの、懐かしウマシでいとしこいしなのだ。
ボクが大田市場で仕事をしていたら毎日寄ってしまいそうである。


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