202402/11掲載

小赤イカの刺身は乙な味

外套膜の長さ10cm前後から刺身になる

小型のケンサキイカ

2月になり、八王子総合卸売協同組合、舵丸水産に神奈川県横須賀市佐島から赤イカ小が来ていた。
関東で赤イカというのは標準和名をケンサキイカという。山陰、島根県などではケンイカ、島根県・山口県ではまとまって揚がるので真イカ、長崎県ではササイカなどという。
呼び名が圧倒的に西日本に多いのは本来、関東・山陰以西で水揚げがあり、西日本での水揚げ量が多かったためである。
ちなみに古くは夏にまとまって揚がり、寒くなるととれなくなっていたが、近年、周年市場で見かける。これなどは明らかに温暖化のためである。
ついでにいえば、今やケンサキイカの漁業的範囲は北に急激に広がっている。
佐島産の赤イカ小は10g〜44gなので大きさにばらつきがある。外套膜(刺身にする部分)だけにして半分を当日刺身(湯通し)で食べて、半分を冷凍保存する。
軟体動物のいいところは冷凍保存しても劣化しないところだ。
さて、水産生物を調べていて、地方からも送ってもらっていると、いろんなことが起きる。もちろん同定不能(種がわからない)だったり、希少な生き物で食べられないことも多い。やって来たものの総重量が100gにも満たないのに撮影と整理に一日かかり、しかも課題だらけで料理する暇がなく、まんじゅうばかり食ってしまったりもする。

見た目はのっぺりだけど味は群を抜いていい

ケンサキイカの刺身

そんな問題のあった日の深夜、冷凍保存しておいた赤イカ小の中の大を自然解凍する。
水分をよくきり、塩を加えた湯の中に一瞬通して氷水に落とす。
外套膜は薄っぺらいけど、芯の部分は生という感じである。
水分をよくきり、皮を剥き、大きいものは二等分、小さいものはそのまま盛り付ける。
これが深夜酒に合うのだ。
茨城県結城市の武勇という酒を、さみしい話だけど5勺のみ。
赤イカ小の意外に豊かなイカの風味と甘さ、程よい柔らかさにうっとりするものの、あくまで酒は5勺だけ。

このコラムに関係する種

ケンサキイカのサムネイル写真
ケンサキイカSwordtip squid海水生。[山形県酒田・鼠ヶ関]、舞鶴湾から山陰・九州北部の日本海・東シナ海、青森県八戸・岩手県・宮城県沿岸、外房・東京・・・・
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